予防接種を受ける意味と大切さ

 まず最初に申し上げたいのが、ワクチンを打ったことで何かしら副作用が出るリスクはゼロではないにしろ、非常に、本当に非常に、小さなリスクだということです。


 数字を使いましょう。


 アメリカの数値となりますが、二〇一〇年から二〇一六年のデータから割り出された、季節のインフルエンザのワクチンが原因で重度なアナフィラキシーショックに陥る件数は推定年間百万件につき0.2件[2]。


 見間違いではありませんし、書き間違いでもありません。

 

 確率に直すと0.00002パーセントとなります。


 逆にワクチンの良い効果がどれほどであったかと計算した論文もあります。


 同じくアメリカで二〇一八年から二〇一九年のインフルエンザの季節の間、ワクチンはインフルエンザにかかる患者を推定四百四十万人未然に防いだとされています[3]。そのおかげでおよそ二百三十万件分の診察がそもそも必要となくなり、五万八千件の入院、そして約三千五百人の死者を出さずに済んだという計算になっています[3]。


 ワクチンは死者を減らすのみならず、診察や入院に必要な医療コストもそれだけ減らしているのです。後者の負担が個人の財布からくるのか、或いは国の財布からくるのかは、その国によるところが大きいでしょうが、どちらだとしてもワクチンは金銭的に利口な判断と言えます。


 勿論対応している病原菌に対して違うワクチンが使われるので、アナフィラキシーショックの確率も病気によって違います。ですが社会全体を考慮した際、予防接種が大変効果的な医療サービスだと理解していただけたのではないでしょうか。


 そんな優秀な予防接種ですが、それでも受けるのが無視できないリスクになる人達も存在します。例えば病気で免疫が低い人、お年寄り、小さい子供、そして妊婦さん。

 しかし面白いことに、そういった特定の人達以外がワクチンを打つことで、打っていない人達が守られるのです。


 これが集団免疫です。


 人口のある一定数以上の人達がウィルスに対する免疫を所持することで、残りの人達まで感染の道が伸びず、結果として全体が守られる現象です。


 予防接種のアピールは残り各々の政府にお任せすることとしまして、集団免疫を得るために必要な「人口の一定数」とはどれほどなのかお話ししましょう。

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