第5話 明日は私とデートしてください

もうすぐ夏の今日このごろ

大学生活も2周目の俺は見慣れた道をいつものように通っていた

そういえば、桜にはSNSで「この前はごめん」と送ったが返信は来ず、既読もなし

そして夏旅行も色々あって無くなってしまった


「これが幽霊についてのネットに載っていたやつですか?」


俺がネット記事から幽霊について調べて、まとめた

とにかくこんな事例はどこにもないし、正直どうして良いかも謎


「あとさ、桜はなんで上野が見えてたんだ?」


「れ、霊感の強さだと思います

でも今のところ桜さんと市川さんにしか見えていないみたいです」


「へぇ〜 俺って霊感強かったんだ...」


「そろそろ大学の時間ですよ!」





〜お昼〜

食堂は至高のひと時、いつものように食堂一押しのカツ丼を買い、この時間は友達が授業に出ているから、唯一の一人での時間だ


「せ〜んぱい! 隣良いですか?」


こいつを抜いて


「お、おう」


こいつの名前は朝比奈あさひなみゆ

大学1年生の後輩

出身高校が同じで同じバスケ部に所属していた


「先輩、最近バスケしてないんですか〜?」


「ちょっとだけやってるかな」


「体動かさないと健康に悪いですよ」


「バスケサークルのお前とは違うんだって

俺は文化系サークルでまったり生きていくと決めたの〜」


高校の時から特別仲が良かったわけではないが、大学生になって同じ学校ということもあり仲良くなったのだ

俺たちの高校からこの大学に上がる人は毎年数人だ


「じゃ、俺この後授業あるから」


「待ってください

先輩、明日は私とデートしてください」




で、デート? デートってのはそれがあれで




「は!?」




「私が桜さんにフラれた先輩を励ましてあげます

じゃあ予定は全部ラインに送るんでさよなら〜」


そう言って立ち去った彼女



「デートって、何!?」


○○○

「集合時間の10分前に来るなんて偉い!」


「いや、お前も10分前に来てんじゃんか」


結局朝比奈に押し切られた俺は"デート"に行く事にした

理由としてはこいつなりに励まそうとしてるという誠意が話していると伝わったこと

あと行かないって送ったら1000件スタンプ連打が来て、行かないならまだ送ると言われたことだ


「今日のプランは水族館デートですよっ!

最高のデートにしましょうね」


「お、おう デートではないがな」


正直に言おう

朝比奈は昔からめっちゃ可愛い

髪型はショートボブで身長は低め

見た目はロリコンウケが良さそうな感じだ


「先輩! 見てこれ! 可愛い!」


「あれはどうだ? あっちも可愛いのいるぞ!」


朝比奈は友達作りが下手で、バスケ部の時もあまり同学年の子とは仲良くしていなかったのだ

ちょっとしたことがきっかけで高校で仲良くなった


「先輩、私お土産ショップでプレゼント買ってきてあげますので、待っててください!」


「じゃあ、あそこで座って待ってるから」


朝比奈は今日ずっと元気を出せるように俺を励ましてくれていた

本当良いやつなんだよなぁ〜


「こ、これが重要な用事ですか?」


「あれっ!? 上野?」


上野のお得意の位置情報特定...

まあ、早く今の状況をなんとかしたいんだろう

別に俺にやきもち焼いてるとかじゃないのは残念


「ちょっとな〜遊ぶ時間も必要、だろ?」


「じゃあ私は調べ作業の方がんばりますから

明日は必ずお願いしますね

では帰ってますね」


なんか桜との一件から変に意識しちゃって家にも帰りづらい

とりあえず今あいつが見えてて助けになれるのは俺だけだから、頑張るか


「先輩! どこ見てるんですか?」


「あ、すまんすまん」


ああ見えて上野は本気で困ってるんだよな


○○○

「先輩、今日は楽しかったですか〜?」


朝比奈のデートプランは完璧なものだった

何というか、俺を元気付けようという気持ちがものすごく感じられた


「本当ありがと、まじで元気出た」


「先輩、一つ良いですか?」


急に真面目な顔になってこっちを見る


「えっと...な、何???」


ドキドキしすぎて頭が回らない

な、何この状況...







「上野かな先輩って知ってますか?」


「... なんだって?」

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