6-1

今日も一日が終わりかけていた


夕焼け空と夜の空が混ざったその色はなんとも言えない感情になる



「あー…食堂に行かなきゃ」



毎日バチが当たるのではないかと感じてしまうほどに平和な日々を送っていると、どうもなにか恐ろしいことが起きてしまうのではないかなと感じてしまう。


足をぶらぶらとさせながら座るそこは普通の子供にしては高すぎる鉄棒


そこから飛び降りるとしっかりと着地をして何事も無かったかのように食堂に向かった。


どうも最近の私は気が抜けているような感覚がある


これも全てこの施設の人達が優しすぎるのがいけないんだ。


いや、人のせいにしてはダメだな



「おや?そこにいるのはリューコちゃんじゃないの」



食堂に向かう途中、後ろから声をかけてきたのは情報科の人達だ


えっとあの綺麗な金髪の人が情報科隊長の玲音さんだったか?



「……どうも」


「ふふっ…突然話しかけたからびっくりしちゃったよね


ごめんね」



いや、情報科の人達は悪くないのにそんなことを言わないで欲しいよ


私はただどう話せばいいかわからなくなっただけなのに…


ほら、早くそう否定しなさいよ私


早くしないと…皆が離れちゃうから……





「…玲音さ~ん


私、訓練場に忘れ物しちゃったんで先行っててもらっていいですか~?」



まったりとした声が聞こえて無意識に下げていた顔を素早く上げると萌奈さんがニコニコと笑いながら玲音さんに言ってた。


あの笑顔…少し怖いな


まるで本当の感情を隠すために笑顔を貼り付けたみたいなそんな感じ



「あらそう?


じゃあ私は先に行ってるからあなたも急いで来なさいよ」


「は~い!」



気づけば玲音さんが率いる情報科の皆さんは遠くにいて、その場にいたのは私と忘れ物をしたと言っていた萌奈さんだけ


………どうして萌奈さんは忘れ物を取りに行かないのだろうか?



「あっ…あの萌奈さん


忘れ物を取りに行かないんですか?」


「ん~?


あ~そういえばそうだったね~



あれ嘘!」



……は?


わけがわからん


なんでわざわざ嘘をつく必要があるのだろうか


一体彼女は何がしたいのだろうか



「ねぇリューコちゃん


少しだけお話しない?」



その声は先程のような可愛らしいまったりとした声ではなくとても落ち着いたお姉さんの声


私は一瞬反応に遅れながらもゆっくりと首を縦に一回だけ振ったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る