2-8

驚きで目を丸くして思考が停止している私を見た彼らも驚いてた


娘?


私が?



「えっ…ニコもジェリーもそのこと言ってなかったの!?」


「その位自分で言ってくださいよ!」



ぎゃいぎゃいと騒ぐ大人達を呆れた目で見ながらも、それが楽しそうでつい笑ってしまった。



「そうかぁ…ポチが私のお母さんになってくれるのか」



なんで皆が私にここまで優してくれるか…わかった気がする



「もう一度私に理由を教えてくれない?


どうして私にここまでしてくれるの?」



私に帰る家をくれて、温かいご飯をくれて


勉強が楽しいと思わせてくれて


私に優しさをくれた…。



その理由を教えて欲しい



また無意識に俯いている私を抱き寄せたのはポチだった


優しい香りに包まれてすごく心地がいい



「誰だって自分の家族を大事にしたいって思うのよ…


それはたとえ血が繋がってなかったとしてもね」



すると今度は抱きしめるのをやめて頬を両手で挟んできた。


一体何がしたいのかは私にはわからないけどそれが私の心の中では嬉しいと認識しているから怒りもしないし文句も言わない。



「私はいつでもリューコの母親になる…あとはリューコの気持ち次第よ!」



その時見せたその優しい笑顔は私の緊張した心を解してくれて


そしてその顔を見て思い出したのだ



そうだ…そっくりなんだ


「ポチは…施設長と同じように笑うね


まるで本来の母親の姿を見てるみたい」


「ばーか、これが母親の当たり前なのよ


施設長もとてもいい人なんだな」



そうか…やっぱり施設長はいい人なんだ



自分の中で生まれたその感情はなにかはわからないけど確かにわかったことは



私は彼らのことが嫌いじゃないということだけがよくわかった。



私は皆のために全力を尽くそう


私の母親になってくれると言ったポチに恩返しをしよう


私に知識を教えてくれたニコに知らないことを教えよう


私を褒めるのが上手なジェリーを沢山褒めよう



義獣人である私達は寿命が短い


だからこそ限られた時間の中で私は必死に生きて見たいんだ。



私は決めた


この先もずっと私が息絶えるまで彼らのために生きよう



わからないことは教えてもらえばいい


苦しい時は誰かに抱きしめてもらえばいい


それを教えてくれたのは紛れもない






あんたらだ






「私…頑張る


今は何も知らないからっぽの私だけど


皆が喜んでくれるような私になる…!」



それが私の生きる意味になるのなら


やってやる

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