24話:エピローグ


 死体と脂が混じった血に塗れた地面を全て掘り返すことで証拠を隠滅して、鮫村組の車も全て破壊したところで、俺たちは帰路に着いた。

 藍野さんは俺の隣を歩いている。彼女の親を殺した俺のもとから離れようとはしなかった。


 「………」


 帰り道は藍野さんも俺も一言も喋らなかった。藍野さんの沈黙は、玄達の死に対するショックが理由だろう。俺はまぁ話すことがないから黙ってるだけだ。


 夜になる頃に鮫村組の屋敷に着いた。そのまま解散しようとのところで藍野さんが口を開いた。


 「本当に……ああするしかなかったの?

 秀征さんもお父さんたちも、きちんと話し合えばこうはならなかったはずだって、私は今も思ってるわ…。

 こんなのって、あんまりよ……っ」


 涙を零しながらぽつりぽつりとそう言って俺をじっと見てくる。俺も藍野さんから目を逸らさずに言葉を返す。


 「俺は譲歩していたんだ。短気を起こして仕掛けに…殺しにきたのは全部あいつらからだった。

 俺からは何もしない方針だったのに、それを捻じ曲げたのはあいつらだ。だからこっちも容赦なく報復した。

 それ以上の理由は無いよ」

 「……だとしても、私はこんな結末は認めたくない…!望んではなかったわ!私は皆んなが仲良く出来ればそれで良かった…!ぐすっ」

 「………俺もそうしたかったよ。

 その理想を破ったのは、他ならない君の父親だ」


 そう言って俺は藍野さんから背を向ける。


 「俺は君の父親と親しい人たちを皆んな殺したクズ人間だ。後悔はしていない。

 もし俺のこと嫌いに……決別したいと思ったのなら、今日限りでお別れしても良い。

 藍野さんがもしそうしたいというなら、俺はきっぱり君のことを諦めようと思う。

 それじゃーーー」


 そう言って立ち去ろうとすると、後ろ袖を引っ張られる感覚がしたので振り返ると、涙を浮かべながら俺の袖を掴んでいる藍野さんが目の前にいた。


 「………別れたくない。これで終わりになんかしたくない。

 それでも私は、秀征さんのことが好きだからーーー」


 強い意思でその言葉を発したことは伝わった。藍野さんの本気が分かった俺は振り向いて彼女と再度向き合う。


 「ありがとう。これからも宜しく」

 「こちらこそ、宜しくお願いします…!」


 俺たちは互いの温もりを確認し合うかのように抱き締め合った。

 歪んだ恋愛なのかもしれない。しかしそれでも良いと思える。

 今後も俺たちの恋愛にアンチ行為をしてくる輩が現れたらその都度俺が全員ぶっ潰してやる。

 容赦しない、情けなど一切かけない、慈悲の欠片も無い。敵は全て排除だ…!


 俺はこれからも自分と恋人を守り続けていく。

 幸せに生きるんだ!!





ルート裏社会の娘 fin





これで本編は終わりです!

次回は裏話を少し書いて終わりです。

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