7話:恋愛は顔や成績だけじゃない


 先の一件が原因で、俺はクラス内で孤立してしまった。

 正確に言うと、クラスメイト全員から恐怖されて誰も俺にちょっかいかけなくなった。ついでに言うと、陰口を漏らすことも一切なかった。何か悪いことを一言でも漏らせば消されると思ったのだろう。一応しょうもないちょっかいや陰口、俺を下に見る風潮は消えたが、代わりに本当の意味で独りになってしまった。

 まあ良いか、クラスの奴らはほぼ全員人間性がゴミだし。外見と能力でしか人を判断できない奴らと仲良くする価値などあるわけないさ。


 後日、柊木さんのクラスの男子どもを粗方潰してやった。

 理由は簡単だ。ある日の昼休み、廊下を歩いてる途中で柊さんのクラス男子どもが俺を見るなり悪意ある視線と陰口をぶつけてきた。

 だから全員シメた。


 「そうやって遠巻きにさァ、鬱陶しい視線飛ばしたりこっちに対する嫉妬や嫌味の陰口をヒソヒソされるの、煩わしいしウゼーんだよね。

 言いたいことあるならこっちに来て堂々と言えっつの」


 俺がそう言うとモブカスどもは逆ギレして俺に掴みかかってきた。大したことないくせにデカい口叩くなとか言いながら。

 で、奴らの勝手は言い分にキレた俺は、モブカス1の腕を思い切り捻ってやった。筋が切れる音がしたがお構いなしに180°は回した。


 「いぎゃあああ!?」


 悲鳴を上げて情けなく倒れるモブ1を適当に蹴飛ばして、モブ2を睨みつける。


 「俺が柊さんの彼氏とかあり得ないだ絶対すぐ別れるだ死ねだと、ふざけたこと抜かしやがって、それも陰湿気に…。

 高校生にもなってしょうもないことしてんじゃねーよクソガキどもが」


 そう言いながらモブ2の胴体をサッカーボールのように蹴り上げて上空に打ち上げる。彼の姿が見えなくなったことに唖然としているモブ3の顔をこちらに強引に向かせて首を掴み上げる。少し力を入れると泡を吐いて苦しみ出した。


 「あがごぼぼ……っ」

 「俺のクソな同級生どもにも言ったけどな。恋愛は顔や地位、成績だけじゃねーんだよ。柊さんのような、人間性や人格で好きかどうかを判断する人もいるんだよォ。

 お前らのクソな価値観と一緒にしてんじゃねーよ!」

 「こぼが……っ」

 

 モブ3が失神したところで首を離して地面に雑に落とし、蹴って打ち上げていたモブ2が降ってきたところをテキトーにキャッチしてゴミを捨てるようにモブ3のところへ放り投げる。モブ1〜3のやられ様を見て恐怖しているモブ4と5に、警告しておく。


 「俺はさっきお前らがしていたような陰湿な嫉妬が、反吐が出るくらいに嫌悪している。今後また俺に柊さんのことで醜い嫉妬を向けるようなことをすれば……そこで潰れてるお前らのお友達よりももっと酷い制裁を下してやるからな。

 良くて四肢か脊髄の激しい損傷、少し悪くても即死、最悪は……十分な地獄を味わってから無惨に死ぬ、かな」


 「「ひっ!ひいいいいいいいいっ!!」」


 最後の脅し文句を言った直後に、その場で正拳突きの素振りをして、後ろにあったコンクリの壁を粉砕してやった。それを見たモブ二人は顔を真っ青にして、モブ三人を担いで死に物狂いで俺から逃げて去った。


 「どいつもこいつも下らない妬みをぶつけやがって。男ならおめでとうの一言くらい言えってんだ。そんで新しい恋に挑戦する。それが男だろうが。アイドルが知らない男とくっついたくらいで醜い嫉妬をぶつけるとか、そういうところがお前らのクズなとこだってんだ」


 好きな人・憧れの人が他の男と付き合ってしまって悔しい、それは分からんでもない。失恋したと同義だろうからな。


 だけどその人の相手が俺みたいなパッとしないルックス・ステータスだからといってその男を貶すことは、はっきり言って意味が分からない。

 というかマジで見苦しいし下らない、しょうもない、醜い。

 しかもそいつらに限って、顔や成績、家柄が優れている奴ならしょうがないか…って言って、そうじゃない男だと「ふざけんな」「有り得ない」「彼女と釣り合わない」って非難してネチネチ攻撃してきやがる。

 中には暴徒と化して物理的に排除しようとする輩も現れた。

 前世の俺はそういう奴らに散々な目に遭わされてきたからな。


 だから今度は全員蹴散らしてぶっ潰してやるのだが。


 「秀征君。一緒に帰りましょう!」

 「うん。ゲーセンとか寄ってかないか柊さん」


 柊さんの綺麗で、触ると柔らかい手を握って一緒に下校する。


 俺の恋愛成就を祝わえとは言わない。けど邪魔はするな、嫉妬に任せてちょっかい出すな、汚いやり方で俺たちの仲を割こうとするな。


 誰にも俺の幸せは壊させない。

 

 

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