5話:ヒロインとの出会い(ルート:学校のアイドル女子高生)


 その出会いがあったのは、入学してから3ヶ月経った頃のこと。

 下校途中で絡んできた不良集団を返り討ちにして。肉団子状に詰めて空の彼方へ投げ飛ばしたところに、その子はやってきた。


 「わあっ!?今の……特撮とかじゃなくて本物!?」

 「あ、見られた……あなたはもしや学年ではアイドル的で有名の…」

 「あははっ、何だかそう言われてるみたいね、私。それより今のってーーー」


 そんな感じで、彼女……角瀬柊かどせひいらぎとの出会いが起きて、そこから俺たちは仲を深めていって……付き合う仲となった。


 角瀬柊さんを知ったのは入学してからすぐのこと。クラスは違えど彼女の評判はすぐにこちらに届いた。それだけ彼女の人気が凄かったのだ。

 見た目は青みがかった黒長髪。艶ついた肌にまん丸二重目、柔らかそうな唇。出るとこがしっかり出ているボディ。

 つまりは完全美少女ということ。

 加えて彼女の誰にも気さくに話しかけてくれるというフレンドリー性格は、クラス中の男子はもちろん、学年全ての男子をも魅了した。

 彼女…柊さんが学校のアイドルとして崇められるようになるのに時間はかからなかったそうだ。


 そんな柊さんは、あの日…人間離れした俺を気味悪がるどころか興味津々といった様子で友好的に接してくれた。

 彼女の性格まで美人なところに、俺も惹かれた。

 いつしか俺たちは休み時間、昼休み、放課後と…会って話す機会を増やして過ごして、親しくなって、一緒に遊ぶことも増えて、そして付き合った。


 以上が、柊さんとの馴れ初めだ。

 彼女は見た目が別にイケメンではない俺を好いてくれた。俺は鍛錬以外は全く努力してこなかつたから、成績も突出したものではないし、部活も入っていないから運動成績も無しだ。

 それても柊さんはそういう見た目や成績、クラスカーストなどで俺を測ることはせず、性格などの内面で俺を判断して、俺を選んでくれた。

 そこから色々気が合って…あとは前述通り恋仲になるまで発展した。


 しかし鬱陶しいことに、そんな俺たちの仲の進展が気に入らない・恨めしい・認められないと思っているみっともないモブカスどもが校内に沢山蔓延っている。

 そいつらは俺たちが付き合い始めたと知ったと同時に、俺にちょっかいをかけてきた。


 ある日の登校時間のこと。俺がひとりで登校門をくぐって下駄箱に行こうとした時…


 「聞いたか?3組の角瀬さんに彼氏ができたって話」

 「ああ聞いたよ、クソ…!たしか相手は別のクラスの……誰だっけ?」

 「吾妻って奴らしい。別に成績が良いとかどこかの部活のエースとかイケメンとかでもない、パッとしない奴…どこにでもいそうなモブ野郎だよ」

 「だよな!何でそんな奴が角瀬さんの彼氏になってやがんだよ?そんな馬の骨なんかよりも、バスケ部次期エースって先輩たちに囃し立てられてるこの俺の方が絶対に相応しいっつの!」

 「ははは、ならこの…水泳部次期エースとなるこの俺にも資格がありそうだな!今からでも遅くねー。吾妻とかいう奴から角瀬さんを寝取ってやろうかな」

 「寝取るってお前ww

 つーか、吾妻ってどんな顔した奴だよ?パッとしない面した奴とかこの学校に沢山いるぜ?」

 「お前らが言ってる吾妻は俺だが?」

 「「っ!?」」


 聞くに堪えない雑談をしていたものだから、我慢することなく諸悪の根源どものところへ参上する。モブ野郎1とその2は俺の突然の登場にびくりと怯む。こんな腰抜けどもの分際が俺のことを悪く言っているのかと思うと腹が立ってくる。


 「何やら俺がパッとしないだとかモブだとか大した成績がないだとか、見た目や地位だけで俺を勝手に評価しやがって。挙句の果てには柊さんを寝取るだ?なぁ……


 何ふざけたことほざいてんのお前ら?」


 「ひぇっ!?」

 「はぎゃ!」


 俺のひと睨みと低い声音に二人のクソモブは小さく悲鳴を上げる。


 「部活の次期エースだからチャンスだとか、お前らのクソしょうもない尺度であの人が振り向くとか思ってんじゃねーぞ?この俺がいけたからお前らでもモノにできるだ?

 できるわけねーよクソが。そういう浅はかな思考で、人を悪く言うようなお前らこそ、柊さんに相応しくねーんだよ」


 二人の髪を雑に掴みながら最後の忠告をしておく。

 

 「分かったら二度とふざけたことほざくんじゃねーぞ?」


 数年間の鍛錬で培ってきた威嚇技術を存分に発揮して、モブどもをシメてやった。


 あんな程度の嫌味、不快に思いつつも気にしないで無視してりゃ良い。普通の主人公たちならそう思うんだろうな。俺もその判断は別に間違ってるとは思っていない。

 だが俺は看過はしない。どんなに些細なちょっかい・嫌味にも反応して、突っかかってぶっ潰す。

 

 さて、これはほんの序章に過ぎない。

 面白くなるのはここから。

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