3話:対アンチ勢に向けて、死ぬ程鍛える


 「オラッ!調子に乗ってんじゃねーぞゴラァ!」

 

 バキッ「ぐお……っ」


 精神年齢は青年の男子ではあるものの、肉体レベルは年相応のもの。ガキ同等の肉体レベルでは、同年代のどんなガキ相手に無双するのは無理があった。

 ある日、俺に泣かされた同級生が仕返しにと奴の兄とその取り巻きども使い、俺はそいつらにボコボコにされた。


 「うちの弟を泣かしやがって、思い知れ!」


 俺もある程度やり返してダメージを負わせたものの、腕っぷしが少々立つ上級生相手にはまだ勝つことが出来なかった。


 これではダメだ。こんな奴ら程度に負けるようでは、前世の最後と同じ状況になったらまた殺されてしまう。まぁそんな状況にまた陥るのかどうかは分からんが。


 とにかく……強くならなければならない。

 それこそ……どんな敵をもワンパンでぶっ殺すくらいに物凄く強い男にならないといけない。

 どれだけ殴られようと蹴られようとビクともしない、大勢の男に押さえつけられようと竜巻の如く吹き飛ばせる力。

 銃で撃たれても弾丸を避けるあるいは素手で受け止めてみせたり、刃物も通さない頑丈な体。

 そして……何らかの超常的パワーを手に入れて、人類が生み出したどんな兵器にも勝てるを手に入れる。


 俺はどんな強力なアンチにも負けない、圧倒的力の差を見せつけてぶっ殺せるようなチート人間になりたい…!!


 そう決意したその日から、俺は自分を鍛えた。

 考え得る限りの過酷な鍛錬を自分で生み出しては実践する毎日。

 時には文字通り死ぬような鍛錬もやって病院に運ばれたこともあった。

 家族に何度止めろも言われてもけっして止めることなく俺は鍛え続けた。

 鍛錬する時は…いつも前世のことを思い出しながらやっていたーーー



 (ぷぷ…おい見ろよ?有名なあの子の彼氏がどんな奴かと思えば、あんなモブ男がそうなのかよ。だっせー)

 (何でアイツがあの子と釣り合うわけないだろ!?気に入らねー!)

 (神屋?誰だよそいつ、別に優秀な奴でもないくせに。どうして奴があの才色兼備なあの子と付き合ってるんだ!?認められるかよ…!)


 知るかよ。見た目がどうとか、スペックがどうとか関係ねーだろ?彼女が俺を選んでくれたんだことのどこが悪いというんだ?どいつもこいつも男のくせに醜い嫉妬を向けてきやがって、鬱陶しい…!


 (彼女さん!そんな凡人な奴よりも、文武ともに優れているこの僕があなたの彼氏に相応しいはず!そこの凡人と別れて僕とお付き合い下さい!

 ……なぜ、なぜ僕ではなくてこんな雑魚男が良いんだ!?雑魚が、身を弁えろよ!!)

 (神屋の奴、あの子とイチャイチャしやがって…!ふざけんな!大してモテない奴のくせに!何かスゴい奴でもないのに!気に入らねー!)


 俺があの子に釣り合わないと主張して、俺よりスペックが高いクソ男子が俺の前であの子に告白してきやがった。俺が出てきても逆ギレして掴みかかるのがほとんど。いつも俺が理不尽な目に遭わせられる。

 俺はあの子に認められたから付き合っているのに、どうして俺があの子の恋人に相応しくないなどと責められなければならない?

 何も知らないくせに、どうして俺をそんなに貶めることができるんだ?

 お前らの方が彼女に相応しくねー男だろうが。気になってる女の子が俺に靡いてるからって、俺を排除しようとするお前らは…醜い。しょうもない。下らない、男として終わってやがる。


 恋愛アンチどもはみんな醜くて最低な奴らだ…!


 (ああすまない。わざとじゃないんだ。手が滑ってしまって。危うく大惨事になるところだったね…………ちっ)

 (お前を締めろって依頼されてんだよねー。締められたくなければその子と別れろって話らしいぜ?どうする?)


 家族への挨拶にと彼女の家に上がらせてもらった時、事故を装って俺を潰そうとしたクズ親父の手先の使用人ども。

 同じくクズ親父の依頼で俺を潰しに来たチンピラ集団。痛い目に遭わされたくなければ彼女と別れろという脅迫をしてきた。

 学内も陰湿で醜くてクソだったが、あの子の家の連中はもっと最低だった。あの子が可哀想に思えるくらいに根が腐った奴らだった。

 家柄しか見ない奴らで、家のことしか考えていない人間のクズな親族ども。

 脅迫に屈さなかったからしょっちゅう怪我を負わされてきた。質の悪いことに、権力と地位が上に位置する家なもんだから、警察から上手いこと犯罪認定されなかったのも最悪だった。

 それでも俺はあの子とは別れなかった。それだけ彼女のこと好きで…愛していたから。


 だというのに…スペックや身分を理由に俺を認めようとはせず、それどころか俺を悪い虫として排斥しにきて…殺しやがった。



 いいぜ…お前らがそのつもりだというのなら、俺も今度は遠慮なく行かせてもらおう。

 誰が相手だろうが関係ない。圧倒的力でねじ伏せる、あるいは…ぶち殺してやる!!

 強く、なってやる!!!



 



 時は変わって数年後、俺は高校1年生となり、春を迎える。


 俺の少々色の違った恋愛ストーリーが、始まるーーー



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