　ヴィリーネと別れ、冒険者ギルド連盟の本社へ向かった俺。

　人込みをかき分け、大通りを抜けた先にある巨大な建物。

　誰が見ても冒険者ギルドの本社だとわかるその建物には、現在進行形で大勢の冒険者が出入りしている。

　建物のデカさといい冒険者の数といい、まさに圧巻だ。

　カガリナの『アバロン』も冒険者ギルドとしては建物も大きい方だし抱える冒険者数も多いのだが、規模が違い過ぎる。

「でっけぇー……初めて来たけど、ここが本社なのか。よ、よし、気圧されないよう気合入れていかないとな……！」

　そうだ、どうせ申請して終わりなんだから、ビビる必要なんかない。

　これからギルドを創ってギルドマスターになろうって奴がこんなところで怖気づいてちゃ、ヴィリーネに笑われてしまう。

　しっかりせねば……！

　俺は建物の入り口へと繋がる階段を、ドスドスと音を立てて登っていく。

　そして入り口を潜ると、やはり建物の中もだだっ広い受付広場になっており、煌びやかな装飾が全体に施されている。

　オマケに清掃まで行き届いているらしく、ピカピカのキラキラだ。

　少しだけ自らの場違い感を覚えつつも、俺は受付へと向かう。

　受付カウンターもどうやら総合受付と依頼受付でわかれているらしく、俺はとりあえず総合受付へと向かった。

「あの、すみません。ギルド創設の申請をしたいんですが……」

「ん？　ああ、いらっしゃい。ギルドの起ち上げですね。しばしお待ちを」

　受付にいたのはチョビ髭を生やした小太りな中年男性で、慣れた様子で申請の準備をしていく。

　その感じからして、１日に何件も俺みたいな新参者の相手をしているベテラン職員であることが見て取れる。

　しかし冒険者ギルドの受付には女性が立つことが多いので、こういう人が立っているのは珍しいなぁ……などと思っている内に、俺の前に１枚の紙が差し出された。

「では、こちらにご著名をお願いします。ギルド名とギルドマスターのサイン、それから本拠地とする街の名前ですね」

　紙にはわかりやすく著名欄があり、どうやらこれに書き込むだけでＯＫらしい。

　知ってはいたが、本当にこれだけなんだな……

　冒険者ギルドが爆発的に増えたのも頷ける。

　俺はペンを持ってサラサラと書き込むと、紙を逆に向けて差し出す。

「これでお願いします」

「承りました。それでは入会金を――――ん？　ちょっと待ってくれ」

　受付の中年男性は紙に目を通すと、なにかに引っ掛かりを覚えたらしく紙を突き返してくる。

「おいおい、なんだこのギルド名は。間違ってるんじゃないのか？」

「？　いや、間違ってませんけど……」

「『追放者ギルド』だって？　ふざけるのも大概にしてくれよ。いったいなんだってこんな名前にするんだ」

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