第6話  作戦開始

『持ち場にはついたか?』


『えぇ、それにしても本当に1階にしかいないのね。本当にこれが世界中の学校を襲ってきた団体なの?随分と雑なことで。授業中でたまたま4階の授業が1つもなかったとはいえ見にすら来なかったし。授業のカリキュラムでも持ってたかのよう。』



『おそらくそうだろう。それにしても音が無いのに言葉が聞こえるのは変な気分だな。』



『開発者が何を・・・敵は動く気配がないわね。逆に怖いくらい。何かを待ってる・・・?』


『考えていても仕方ない。やるぞ。』

『了解。』





 次の瞬間。敵の武器は陣を描いて光をはなった。


「なんだこれは!?」

「武器が、動かない!」


そして俺は飛び出し、向かってくる敵を倒していく。


その間に柊が2階からアトリウムに直接つながる階段を降りて拘束されていた生徒や教師を魔法で解放していく。

柊が俺やウラトルと生徒たちとの間に壁を作り生徒たちを裏口から脱出させた。生徒たちはあっけにとられていたが教師たちが上手く誘導してくれたため、あとは駆けつけてくれるであろう魔警(魔法警察)に任せておけば大丈夫だという柊のテレパスを受け取ったとき、


俺は敵をほぼ倒し、あとはリーダー格の男一人だけになっていた。



 するとリーダー格の男がいきなり笑い出した。



「アハハハハッ!まんまと罠にはまってくれたな。ここに元聖騎士がいるというのは本当だったのか!」




何を言っているんだ?


そんなのいるわけがないだろう?第一なぜ聖騎士が辞めてまでわざわざ聖騎士を育てる学校にくるのか。



「お前だな?なかなかやるじゃないか。こっちも本気を出させてもらうぞ。」


俺が魔力を持っていないことすらわからないのか?追い詰められておかしくなっているのか。


 俺は油断していたのかもしれない。


ウラトルは魔力のないものしかいないから武器さえ無効化すれば俺でも勝てると。


魔力のない俺でもみんなのヒーローになれると。


しかし、男から出る魔力は柊のものとは比べ物にならないくらい強大なものだった。柊は今までの誰よりも大きな魔力を持っていたから、彼女のような人が聖騎士になるのだろうと思っていたがまさかこんな強大な魔力を持つ人間がウルトルにいるとは。


聖騎士レベルじゃないのか?


「どうした?来ないのなら私から行かせてもらうぞ。聖騎士さまよぉ!」


男はとてつもなく強大な炎をぶつけてくる。


無理だ。


こんな強力な魔法、魔法が使えない俺には自分を守る術がない。


間違いなく死ぬ。


そう思って目を閉じた。


一瞬が驚くほど長く感じる。やっぱり俺には無理だったのか。




「ごめんなさい。それきっと私のことだわ。」



俺は思わず目を開けた。

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