荒野の緑

1.目と目

 私、緑色って結構好きなんだよね。ミドリっていろいろあるじゃない。青みがかった緑、翡翠、宝石…あ、いっしょか。あと、葉っぱ、きれいな海の青緑も好きだなぁ。透き通った色。そんないい気分を思い出せるのがガラス細工とか、海の砂とか貝殻でそういうグッズが大好きなんだよね。ちょっと前に知り合い(って言っていいのかわからないけど)から貝殻の装飾品がガレージに届いてびっくりしちゃった。でも嬉しかったんですよ。あの人、意外と律儀なんだなって。人は見かけによらないっていうか。最初はちょっと怖かったけど(笑った顔もいたずら小僧っぽかったし)、やることはちゃんとやるし、いろんな人がいるよねって感じで。ってことを今思い出したのも理由があって。


 私、いま外出中で言ってしまえば仕事中で、雨の中で作業してたんだけどね。雨足が強まってきたからフードを被って廃材回収してたんだけども、ふっと顔を上げたとき、シトシト降るどんより景色の中に人影を見てね。それがなんとなく、あの人、前に仕事をした伊野田さんって人に似てるなって思って目を凝らしてみたら、なんということでしょう。それの目が緑に光ったように見えたの。


 まさかねって、なんで私の前に出てくるかなって思っちゃって今固まっているところ。私と距離数十メートルの場所にいるその違法オートマタって、一番縁が無いように思ってたから。いや、まったく縁がなかったわけじゃないか。だって信じられないけど、ちょっとの間、同僚だったんだから。人間のフリしてガレージにいたのよ、信じられる? その伊野田さんって人にね、なりかわってたの! びっくりしたなぁ。これって挨拶した方がいいの? 

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