第43話 ジャングル

 早朝、サンターナの町を出るとヨッシーのSUVに乗り込む。


「よっしゃ今日はガンガン飛ばしたるで!」


「イエーイ!ノリノリでいくニャ」


 ヨッシーが音楽のボリュームを上げるとそれに合わせて踊ら出すニーヤとリンク、その隣で怖がってうずくまるハッサン、そりゃ初めての自動車だもんな。


 それにしてもヨッシーの選曲って……


「そういえばヨッシーってどういう感じの音楽きいていたの?」


「そうやな、ブルース、HIPHOPとかR&Bかな」


 地面がデコボコなのか妙に車体がガタガタ揺れるなと思いきや、速度メーターをチラッと見ると150キロオーバーで走ってやがった。うわっ速度制限が無いとこうなるのかよ、結局30分ほどで砂漠地帯を越えた。

 クルマから降りてハッサンのガイドについて歩いて密林へと向かう。やっぱりオレの思った通り彼は少し不器用だが謙虚な感じと気配り上手なところがみんなに好評だった。ちょっと気になったので彼のステータスをのぞいてみた。


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 ハッサン・シャリ・パ・サマーン


 クラス 町人

 


 レベル12

 HP 63 MP13



 攻撃42 守り39 敏捷36



 ユニークスキル

【鼓応の祈り】


 能力スキル

 透明化インヴィジブル、清掃、修理


 装備 町人の服、ターバン


 加護: アッサーム神の加護

 称号: 無し

 進化:条件を満たしていません



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【鼓応の祈り】


 術者が想いが伝わって仲間達の能力が上昇する

 ユニークスキル



 へえ、ユニークスキルなんて珍しいモノを持っているな、きっとこの能力スキルって本人は知らずに周りの人達に影響を与えているんだよな?


「なんやハッサンは彼女とかおらへんのか?」


「いやあ実は1人気になる女性がおりまして」


「おお、そうなんか!それにしても暑いのう」


 「この辺は常に温暖で雨量の多い地域で巨大な樹木があり、そのエネルギーはここに生息する魔物達にとって魔力の源となっております」


 遠くから見える大きな樹木を見てニーヤ達が何やら興奮している。


 「うわぁでっかい木が見えるニャ」


「アレはアスピラの大樹ですね。触れると願い事が成就されると言われてます。小さい頃に一度だけ祖父と見に行った事がありますよ」


「キューイ」


 うしろを振り向くとリンクが何者かを蹴り飛ばしていた。


「どうしたの?」


「突然、コイツが襲いかかって来たニャ」


 みんな立ち止まってのびているソレを見る。

 ソレは石器を片手にもち、獣の毛皮をまとい、緑色の葉っぱをイメージしたようなお面をかぶっていた。ソレを見たハッサンが驚いたような表情を浮かべていたのがオレの目についた。


「何か知っているのか?」


「この密林の奥地に住んでいる先住民族ですよ。まさかこんな所にいるなんて……はっ」


 ハッサンの声に反応してあたりを見るとオレ達はすでに先住民族どもに囲まれていた。

 奴らは石器を片手に持ち、先が輪っかになっている縄を振り回しながらジワジワと距離を詰めて来た。


炎矢魔法フレアアロー


 ニーヤの放った炎の矢は奴らの足元に落ちて燃え広がり、奴らは驚いて距離を取り出し、そばにある川の水をかけて消火している。


「リンク、コレをアイツらにたのむわ」


「キュイ!」


 リンクはヨッシーから煙玉を渡されるとそのまま2段ジャンプして奴らのいる場所に煙玉を投げた。

 突然の攻撃で敵が混乱しているのを察したオレ達は走ってその場を離れた。



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 20分ほど走り続け、さすがにもう大丈夫かと思い

 歩いて先を進もうとしたがこの先が川になっているのでヨッシーが虚空庫アイテムボックスからゴムボートを出してくれたのでオレとヨッシーがオールを漕ぎなんとか川を下る事が出来た。


 漕ぎ疲れて来たのでハッサンとクリフに代わってもらい疲れちゃったのかオレは少しだけ眠りについた。


 数分ほど寝たのかな?

 隣に座っているヨッシーがオレの目覚めに気付いて話しかけて来た。


「おお、ずいぶんとお疲れのようやな?マサ坊10分くらい寝とったんやで、 なんや自分エロい夢でも見とったんかい」


「見てねえよバカヤロウ!」


 突然、ザバアァァッと音を立てて川の中からキラークロコダイルが現れハッサンの持つボートオールにかじりついて来た。


「うわぁ! キラークロコダイルが出た」


「アカン、急いでオール戻さんと折られてまうわ」


 なんとヨッシーは焦っていたせいかキラークロコダイルごと虚空庫アイテムボックスに戻してしまった。


「うむ、コレは取り出す時がやっかいだな」


「コレでワニのステーキが食べれるニャ♪」


「それよりもどうするよこの状況、オールなしでどうやって進めるんだよ?」



「我が主人あるじよアッシにまかせるニャ」


 ニーヤの風魔法によってゴムボートはゆっくりと前に進み始めて30分後、ようやく遺跡があると言われている場所にたどり着いた。


「よし、ほんならそれっぽいモノを探してみようかな」


「うむ、ここからは手分けして探そう」


 オレはリンクと、ヨッシーはハッサンと、クリフさんはニーヤとともに3つのチームに分かれて遺跡を探す事になった。



 ……ところが2時間……3時間とドンドン時間が経っていくが結局5時間探しても見つけ出す事が出来なかった。


「もう疲れたニャー」


「今回はあきらめて帰ろう」


「おう、帰って旨いもんでも食いに行こうや」



 オレ達は転移の杖でサンターナへと戻った。




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