第22話 魔物に襲撃された村で




 ガサッ



 旅の途中、突然獣道から傷ついた少年が現れた。



「む…村が魔物に………助けて下さい」



 少年はそのまま前のめりにバタッと倒れた。

 彼の背中には何者かに背後から引き裂かれたであろう跡があった。



「うむ、コレは魔物から攻撃を受けた傷だな」


「よし、手当てをしてやろう」



 テントの奥へと連れて行って寝かせてあとドラッグストアで買った緑茶を少し飲ませたついでに少年のおでこに熱冷シートも貼っといた。


 ニーヤが回復魔法をかけてからしばらくすると少年がパチリと目を開いた。

 しかしその瞳はうつろで何かに怯えているようだ。


「おっオマエ大丈夫か、ポカリ飲むか?なんやったらビール持ってきたろか」


 ヨッシー何いってんの、ビールって———



「む…村を助けて下さい」


「村が襲われたのかニャ?」


「近隣の村の子供だろうな、傷痕から察するに魔物の襲撃だろう、おそらくは貯蔵してある作物が目的なのであろう」


「マジかよ? 魔物ってそんな……どこにでもいるのかよ?」



「様々な種族があってその特性があるんだろうけど山岳地帯、海、洞窟や地底などの場所に魔物は住んで、たいてい群れ単位で生きている。生活していく中で人間の生活圏と干渉しちまったり、人間の移動経路と被ってしまったりして、人間が騒ぎ立てることもある」



「そんなんアカンわ! それやったら必ずしも魔物が悪いって言われへんのやないんか」



 少年の話によると突然魔物どもに襲撃され村を壊滅させられたらしい……

 とりあえずオレ達は彼の住む村へ行く事にした。




 ◇




 数時間後、少年の案内でオレ達は彼の村へ行く事になった。やはり村は何もかも奪われて焼け野原と化していた。あたりには逃げ遅れたであろう老若男女の死体がそこら中に転がっている。うぇっマジ吐きそう!なんだよこの悪臭は死体ってこんなにくせえのかよ



「あっうううう〜」



 そんな中で辛うじて息がある者がいた。

 目の前で横たわっているバーコード頭の中年男性だ。みんなで薬やら回復魔法をかけてなんとか話ができるくらいには回復した。







 バーコード頭の中年男性の話によるとこの村は襲撃により、村人数人が殺害されて約30世帯の家族が数10キロ離れた村に避難した。



「いきなり魔物がなだれこみ、家に火をつけ、住民の男性たちを襲いだしたんだよ」


「それではこの村の者達は皆殺しにあったのであるか……」


「分からない、何人か近くの村へ助けを求めて走って行った連中もいた」




 なるほど、オレたちが助けたこの少年もその類なのか……




 少年はうつむいたまま何も喋ろうとしなくなった。




 カキン!!




 クリフは剣で飛んできた矢を払いのけた。


 村の奥から5匹のゴブリンがニヤリと不敵な笑みを浮かべながらオレ達の前に現れた。




「「ギャギャーッギャ!」」





 オレは「眠粉散布」と書かれた札を選んで投げつけるとゴブリンどもはパタッと眠りに落ちた。





 そのスキにクリフさんの矢が魔物どもの喉や顔面に突き刺さるととどめと言わんばかりにニーヤが

 一匹ずつ氷結魔法を撃ち込んでいった。

 目の前にゴブリンどもの死体が転がっている!!

 マジえげつねえわ! コイツは出来ればオレは目の前では見たくない光景だな。

 正直、元の世界に帰りてえ

 確かに中東とかアフリカの紛争地域なんかでは老若男女の死体とかそういった光景が日常茶飯事なのかもしれない…………でもオレが住んでいる日本ではこんなのねえよ。




「なあ、いくら魔物とはいえ殺す事はないんちゃうんか、コレは余りにもむごいわ」



「確かに……コレはトラウマになりそうだよ」

 村の少年とバーコード頭の人は隣の村へ行くというので彼らと別れオレ達は再び足を進めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る