第4話 村人

 

 どうしょう? いきなり魔物に遭遇しちまったぞ。

異世界生活はじまってまだ数分しか経ってないのにもうピンチなんだけど(泣)





 ……そういえば白狐にもらった護身用の札があったよな?




 道具アイテムコマンドから能力札を選択して無意識でササッと1枚抜き取った。どうやら「眠粉散布」という札を引いたらしい?




 すると白い霧ががあたりを包み込むと狼供はパタっと倒れて動かなくなった。




ん?コレってやっぱ札の力で眠っちまったのかな? それじゃあもう一枚引いとくかな、今度はちゃんと確認して取ろう!



 オレは「狐火」と書かれた札を選んで投げつけると狼どもの周りに青い炎が現れユラユラと取り囲み、それが狼に触れると大きな火柱がたった。



「えっ何だよコレ?」



 火柱が消えるとデカイ狼みたいな魔物どもはすでに跡形もなく消し炭になっていた。




 イヤッ! さすがにコレはやり過ぎでしょ?

 しかもなんか頭の中で何か変なアナウンスが聞こえて来るんだけど?




 とりあえず、デカイ狼みたいな魔物どもは跡形もなく消滅したので村人に近づいて声をかけてみる。

 倒れている瀕死の村人はずいぶんと若い少年だった……歳は15歳前後といったところか



「オイ、君大丈夫か?」


 イヤ大丈夫なわけねえか? 手足は引きちぎられ、腹が引き裂かれ臓器が飛び出てる。……ヤバいじゃん

 コレもう絶対助かんねえよな?

 だが、まだこんな人生まだコレからっていうような若いヤツを死なせたくはねえよ!

 なんとかして助けてやりてえな!


 ダメ元で白狐にもらった回復薬ポーション魔法袋マジックバッグから出して彼の口もとに持っていき飲ませてみると少しずつ彼の身体が光りを帯びて輝き出した。


 すると少年はパチリと目を開ける。


「アレ、ボクは一体? バーゲストは?」


 き、効いた!良かった〜

さっすが白狐のアイテムだ!


「えっと…あなたが助けてくれたんですか?」


「ああっ魔物はオレが倒して、キミの怪我は回復薬ポーションで治したんだ」


「えっ!回復薬ポーションで?」


 少年はジッとオレを見つめる。

 そしてオレに向かって深々と頭を下げてきた。


「助けていただきありがとうございます。ボクはこの近くにある村に住むセヴランと申します。先程のアナタがいなければバーゲストにやられ命を落としていたでしょう」


「オレはマサキだ。よろしく! あとそんなに感謝しなくてもいいよ。マジで偶然通りかかっただけだから」


「あの…よろしければ村へ来ていただけませんか?

 ぜひお礼がしたいので……」



 おっ近くにある村か町を目指していたのでこりゃ好都合だ。



「行く、案内してくれ」



 オレがバーゲストを魔法袋マジックバッグの中にポイッと入れるとセヴランは驚いた表情で駆け寄り両手でオレの肩を掴む。



「それってまさかマジックバッグですか?」


「そ…そうだけど何か?」


「初めて見ました」



 彼の驚き様から察するにこの魔法袋マジックバッグってかなりのレアアイテムのようだな。こりゃ白狐様々だな!



「あの、一つお願いがあるのですが……」


「えっ、何?」


 セヴランは先程、彼に使った回復薬ポーションを譲って欲しいと言い出したので彼に二本渡した。

 何だ。怪我人でもいるのか?

 まあ、これから彼の村でお世話になるのだからこれくらいのサービスはしてもはいいかもな。


 

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