第二十六話 トラ・トラ・トラ

 真珠湾の軍事基地が壊滅した翌日、陸軍歩兵と海軍陸戦隊の協力の下上陸作戦を決行した。十万というその島の大きさの割に合わない大軍勢を迎え撃つために米軍は海兵隊やその他部隊をかき集め五万の防衛部隊が待機していた。その中には米軍の主力戦車、パーシングを備えた戦車部隊も存在していたが沖合をすでに制圧し、加え軍事基地の爆撃で補給もまままらない彼らは格好の的となった。

 護衛艦隊旗艦を務めた大和の艦砲射や二度目の艦載機による爆撃によって一方的に攻撃された。

 明らかに敵兵力が少ない。米軍はここでの戦闘を避けに来たのだろう。ここが我らにとって超重要な場所であったことを知らずに。

 早急に占領せよという上からの命令により日本軍の攻勢は積極化。上陸開始から3日後の4月28日には最後まで抵抗し続けた戦車部隊を艦砲射撃によって殲滅。そしてオアフ島の占領に成功した。


 世界中に日本軍の猛攻は報じられ、米軍の太平洋における劣勢を裏付けるものとなった。しかし、米軍の損失は圧倒的に少ない。「アメリカは本土で我らを迎え撃つつもりだからハワイなどという小島はくれてやろう。」といったところであろう。地政学的観点からハワイが日本にとってどれほど重要であるかを理解しているイギリスはアメリカに警告をした。


「これで、君たちの本土は火の海になるだろう。」


と。


 ハワイ全土を占領したのち、日本は南部最大の島であるハワイ島に新たな航空基地の整備を開始し、2か月後、日本本土からいまだかつて軍関係者しか見たことのない超大型爆撃機がハワイに飛来した。


その爆撃機は6発のハ50発動機を備え、爆雷搭載可能量は驚異の20t。その巨体は富士山の名を冠すにふさわしい機体であった。

 その機体名は識別番号にG10N。機体名を「富嶽ふがく」と言う。

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