第22話 最弱な戦士6

 マルコはあの時の事を忘れない。

 ルカはマルコを守る為、ガンソードをマルコの近くの地面に突き刺した。

「こいつの側にいろ。何があっても離れるな。それと、その剣を貸せ」

 そう言うと、マルコの腰の剣を許可無く抜き、ルカは魔物の前に立った。

 体を丸くしていたマルコは、怯えながらルカを見た。

 魔物は大きく強く、コールド系の技が得意な魔物であった。

 ルカは避けながらも必死に、魔物の所に向かって行った。

 しかし、魔物の氷の刃に合い、全身が切り傷だらけになった。

(くっ、やっぱり、慣れねー)

 ルカは苦しい顔を見せた。

 氷の刃はマルコの所に向かって行ったが、ルカの剣が魔力を放ち、バリアを作っていた。

 ルカは何とか近付き、魔物の頭にマルコの剣を刺した。

 魔物は血を噴水のように流れ苦しみ、魔物は防衛手段として、とっさに氷の刃をルカの右腹に貫き、ルカは剣を放し飛ばされてしまった。

「うわぁぁぁ」

 ルカは木に叩き付けられた。

「うー」

 魔物はまだ生きていて、ルカに気付いた魔物はルカに再び襲い掛かった。

「くう」

 貫いた氷の刃に強い痛みを感じた。

 そんな苦痛もままならぬまま、魔物が向かってくる。

「ヤバいな……」

 ルカは上着の中から、白き銃を出し魔物を狙って撃った。

 弾は魔物の体を貫いた。

「悪いな。負ける訳にはいかないんだ」

 ルカは銃をしまい、タバコを吸った。

 魔物はなにも感じないのかルカを襲った、しかし、すぐ動きが止まった。

 魔物は苦しみ始め、流れ出た血が一気に塊、結晶化した。

「終わりだ」

 魔物は倒れ、体まで赤い結晶となり、最後は粉々に砕け散った。


「あの白き銃は何の為の物です!」

「護身用だ」

 ルカはめんどくさそうに話した。

「ルカ。あれ使ったの!」

「なんだ。知っていたんだ。じーちゃんか?」

「ええ」

「まあ、いっか」

 怒られると思ったが、特に詮索するような事は無かった。

「しかし、エクソシストの銃があれば魔王にも勝てる違いますか?」

「さあな。例えそうだとしても、お前らの力にはならない」

 ルカはまたタバコに火をつけていた。

(相当苛立っているようね)

 ニアが正面にいた時は、あまり吸っていなかった。

 ルカは一日一〇本程タバコを吸うが、三本目までのペースが速かった。

「分からない人ですね」

「お前もな」

「はあ、どうしても断るのですね」

「ああ」

「勿体無い。魔王は今、大人しくしていますが、いつか本性を表します」

「マルコは魔王が嫌い何のね」

 ニアが言った。

「ええ。あんな得体の知れない種族。二百年前、滅ぼさず戦争を終えたと思います。その銃があれば、魔王も倒せたはずなのに」

「和解しちまった物を悔いても仕方ねーだろう。和解しなければ、俺はここにいねーし」

「じゃあ、貴方も」

「ああ、俺は混血だ。じーちゃんが魔族のクォーターだ。分かっただろう。倒したく無いのはじーちゃんを敵にしたくないからだ」

「やはり、貴方も悪魔の子でしたか、僕も父が魔族のハーフです」

 人間の血が強く出て、魔族の血が見られないハーフのようだ。

「だったら、何故滅ぼそうとするの?」

「だからですよ。これ以上、悪魔を増やさない為、魔族は忌むべき存在です」

「ルカも分からないけど、マルコはもっと分からないわ。それって下手したら家族を討つ事になるんでしょう?」

「それは兄さん達も覚悟しています。そして父も……」

「そんな」

「ニア、こんな奴になに言っても無駄だ」

「だけど」

 ニアは納得出来なかった。

「まあ、ついでだから言うけど、俺の流れている魔族の血は、魔王の物だ。俺が魔王に銃を向けると言う事は、じーちゃんの敵になる事に等しい。お前の家じゃないんだ、俺はそんな裏切り行為はゴメンだ」

「魔王の孫」

「そうだ。俺のじーちゃんは、魔王メフィストフェレスだ」

「そんな」

 マルコは驚いた。

「分かっただろう?」

「そうですか」

 マルコはガッカリしていた。

「しかし、メフィストフェレスの子供がいる何て……噂ではルシファーと……」

 マルコが指を折った。

「メフィストの子供は最も有名だよ。二百年前の話だけどな」

 ルカは四本目のタバコを吸い始めた。

「エクソシストの銃と魔王、まさか、世界を変にした元凶!」

「白の戦士団からすればそーなるか、俺はそのハーフの子供だ。最も、俺の存在は公式発表してねーけどな。俺は魔王の敵にはならない。理由は一通り言ったぞ」

「あなたは僕と違い、実力があるのに」

 マルコは立ち上がった。

「僕は諦めません。ルカさんが腰を上げれば、革命は起きる。絶対に!」

 マルコは涙を溜めた。

「ふうん。くだらないな。話はもう充分だろう? ニア行くぞ」

 ルカはタバコを消した。

「えっ、ええ」

 二人は部屋を出た。


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