第4話 機械人間

 夜、空に沢山の球体が姿を表す。その球体はゆっくりと移動すると幻次郎達の住む家の上空に停止する。それはまるでサヤが乗っていた乗り物と同じような形であった。


「この場所に隠れていることは解っている。サーヤ・エブリリュームよ!速やかに投降せよ。そしてアズリニウムを渡せ!」空から辺りに響き渡るような大きな声が聞こえる。

「あれは一体何なのだ!」幻次郎は少し耳を塞いぎながら慌てて外に飛び出した。

「幻次郎さん!駄目よ!隠れて。危険よ!」サヤが幻次郎を制止する。その姿を見つけられてしまったようだ。

「見つけたぞ!サーヤ・エブリリューム」宙に浮いている球体から手足が出て人のような形に変わったかと思うとゆっくりと地上に降りてくる。

「くっ!しつこい男は嫌われるわよ!!」サヤは着物を脱ぎ捨てると黒装束の姿になった。右手に力を込めるとその上部から光の剣が現れる。


「さすがにバテレンの技だ!恐るべし!」幻次郎は見た事も無いその光の剣を見て身震いする。


「やー!!」サヤは大きな機械人間に向かって飛び上がる。右手の剣で斬りかかるが機械人間はその攻撃を腕で受け止める。サヤは後方に翻り反対の腕から光の弾を発する。機械人間の足元が弛みバランスを崩したようだ。その隙に、懐に入り込み二本の足を切断する。一体目の機械人間は倒れ込む。

「危ない!」幻次郎が叫ぶ。サヤの背後から、別の機械人間が腕を振り下ろしてくる。このままではサヤの頭部に直撃する。幻次郎は一気に飛び込むと鞘に納めた日本刀を引き抜いて、機械人間の腕を受け止めた。


「幻次郎さん無理よ!そんな武器では……」そう呟くサヤの目の前に信じられない光景にが現れた。幻次郎の振り下ろした日本刀が機械人間の屈強な腕を見事に切り落としていた。それはサヤのハンド・ブレイドよりも見事な斬り口であった。


「な、なに!どういうことなの!?」サヤの目が見開く。そのまま幻次郎は自分の日本刀を真横一文字に振り斬った。機械人間は真っ二つに割れて、中から中年風の大男が姿を見せた。


「ひ、ひえー!」男は一瞬何が起きたか解らなかった様子であったが、慌てて機械人間の中から飛び出した。そのまま腰を抜かして地面で震えている。


「貴様ら、何者なのだ?」幻次郎は刀の先端ふくらを男の喉元に向けて凄んだ。


「お、お前こそ未開の星の住人がどうやって……!」日本刀で乗っていた機械人形を切られた事が相当ショックだったようだ。男の頭には小さな角のようなものがあった。


「聞いているのは俺のほうだ!」その瞬間、背後の機械人間から飛来物が飛び出し、男の体を直撃した。

「幻次郎さん、逃げて!」サヤの言葉に反応して幻次郎は、背後に飛んだ。


「た、助けて……!」男の体は木っ端微塵に弾けとんだ。機械人間はもう一度空中に舞い上がると球体に戻り遥か彼方に姿を消していった。


「仲間のはずなのに酷い仕打ちだ」幻次郎は刀を鞘の中に納めた。

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