第4話
「まあアミエル様、今日もいらしてくださったのですね。」
「ご機嫌よう、シスター。」
はあいみんな、アシュリィだよ。
日本から異世界に転生したと思い出してから、早くも1ヶ月ほど経った。
そしてつい先日、この世界がファンタジーゲーム「月光の雫」の世界だと気づいてしまったのさ。
唯一の肉親である母を亡くし、まだ6歳の私はこの教会でお世話になっている。
そして教会に慈善活動しに来てるお嬢様が、いずれ悪役令嬢リリーナラリス。今日も来たようだ。
「…あら。あなた、先日急に倒れた子ではなくて?」
ロックオンされちゃった?普段リリーは孤児達に話しかける事はしないようで、子供達も大人達も目を見開いておるわ。
「はい。ご心配おかけしました。」
「…いいえ。」
別に心配なんてしてないわよって顔してるーう。そんなしかめっ面じゃあ、美少女が台無しだぞ。
ふわっふわの金の髪に青い瞳。そして子供ながらに将来を約束された美貌(母には劣る)。お母さんもそうだったが、この国の人は大半が青い目をしている。
ちなみにだが私はグレーの髪に赤い目をしている。赤目はあまり見たことがなく、母にも「あなたの目は珍しい色をしているの。あまり人に見せてはいけませんよ。」と言われていた。なので前髪を長く伸ばし、隠している。
顔の造形はまあまあ良い方かと思ってるよ。ただいつも母の顔を見ていたから、感覚が狂ってる気がする。リリーは目の肥えた私が認める美形さん2号だね。
そのリリーは私に一瞥をくれたあと、すぐに興味をなくし帰っていった。
「アシュリィ、大丈夫だった?アミエル様がわたしたちに声をかけるなんて、ちょっとびっくりしちゃった!」
「大丈夫だよ、ベラちゃん。」
リリーが帰った後に声をかけてきたのはベラちゃん。今13歳で、女の子の中では最年長なのだ。
この国の孤児院は、15歳の誕生日に卒業するのが習わしだ。なので14歳までの子供しかいない。…成人が15歳だからね。私から見りゃまだまだ子供だよ。
それはともかく。リリーは慈善活動に来てるが子供達の評判は良くない。明らかに私達を見下してるからねー、あの目。
なのでベラちゃんもみんなも、私が何かされるんじゃないかとヒヤヒヤしたらしい。
いやでも…話を聞く限りじゃ孤児達に手をあげたり暴言吐いた事はないんでしょ?今の所。
「そうだけど…相手はお貴族様だよ。ちょっと機嫌を損ねちゃえば、わたしたちなんて簡単に始末できちゃうんだから。
優しい貴族様もいるらしいけど、アミエル様は怖いよ…。」
ベラちゃんの言葉に、みんなうんうん頷いてる。
まあ、大正解だわな。あと数年で平民なんて視界に入っただけで打ち首にするようになるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます