副業冒険者!〜本業は商人で週末だけ冒険者!?投資で強くなる冒険者生活のすすめ〜

天野川 渡

プロローグ 夢を叶える副業のすすめ

第1話 給料だけでは金持ちになれない

「今月の給料たったこれだけか…」


ベッドに寝転がり今月の給与明細を一人眺める。簡素なワンルームの部屋。一人暮らしにしても少し狭く、必要最低限の家具以外に余計な物も置かれておらず殺風景だ。


春から夏に移り変わる時期だが、窓を開けているにも関わらずムワッとした熱気が部屋の中に渦巻いていた。


「3年働いてようやく200万ルピーじゃ目標の金額までたどり着くのはいつになるんだ…」


そうつぶやく青年の名前はアレク。真っ赤な短髪に青い瞳、整った顔立ちに180cmほどの大きな体。鍛えられた筋肉質な体は体重の割に細見に見え、引き締まっている。


普段は労働契約を結んだ商会で商人として働いているが、今日は休日である。5日ぶりの休日に3年働いた結果である自分の銀行口座と給与明細を見て少し落ち込んでいるところだった。


アレクが手に持つ金属プレートには文字が浮かび上がり、自分の資産情報が記されている。


このプレートは特殊な合金と魔法で作られており、正式名称を『ステータスカード』、長いため通称『ステカ』と呼ばれるもので、個人の持つ資産情報や振り込まれた給料の情報、身体能力データから過去の経歴まで幅広い情報が納められた身分証にもなる万能プレートである。


現在アレクの銀行口座の残高は約200万ルピー。

今月の手取り収入が20万ルピーとこの地域の同年代平均収入よりは高い数値ではある。


それでも3年間で200万ルピーという貯金を行うことが出来たのは、彼の目標に対しての並々ならぬ努力と熱意によるところが大きかった。


「まあ悩んでも仕方ない、今日の飲み会でのみんなへの説得にかけよう」


そう呟いてベッドから起き上がると黒い長袖シャツに着替え、ステカと護身用の短剣を腰のベルトにぶら下げた小さな袋状のアイテムバッグに入れ、手ぶらのまま部屋の外へ出た。

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