第7話 計画実行前

夜が明け、


「きゃああああああ!!」


ゴゴゴゴゴバキッバキッドサッ(全力の効果音)


「なんだ!何かあったのか!?」


開幕悲鳴で起こされる俺と慎士。俺は慌てて外へ出る。そこには地面に座りこんだ友結。そして、倒壊した家………。これは……


「おい!慎士ぃ!これ、欠陥住宅にも程ってのがあるだろ!1日で崩壊ってなんだよ!」


「あ?ごめ」


慎士が適当な返事をする。それに友結は


「ねぇ!もし逃げるのが遅れてたらどうするのよ!もっとちゃんと字書いてよ!………なんでそっちの家は崩壊してないの?こっちだけ手抜き!?」


慎士が首を掴まれ揺さぶられながら、


「すみませんすみませんすみませんすみませんすみま………」


全力の謝罪。だが途中で気を失った。おい、友結。さすがにやりすぎだろ。いや、最悪友結が死んでたことも考えると………やっぱり同情の余地はない。手を抜いた慎士が悪い。


「まあ、無事そうでよかったわ。んじゃ、食事にするか。これは自然産だから安心してくれ。腹にあたらなきゃ大丈夫だ」


慎士が復活したあと、俺達は朝飯の果実を食べる。俺は実はさくらんぼが好きだ。今はないけど。


「うめー!自作のより断然いい!」


「そうね。なんかより断然いいよね~」


「あんなものとは失礼な!あれが最悪、今後の食料になるかもしれな……!」


バタン!ドサァ………。目の前の慎士が急に倒れた。


「「慎士ぃぃ!!!」」


「これは……あたっちまったか?」


「それっぽいね。お~い、大丈夫か~」


可哀想に。見事慎士のみにあたるという悲劇。これも先程の天罰だな。


…………いや、放置するわけにもいかない。食中毒で死ぬ場合だってある。なんとかせねば。


「おい、稲見よぉ。あれで治せるんじゃね?ほら、それ」


俺が指さしたのは友結のカードの入ったケース。


「そういうことね。やってみるよ」


友結は祈るような格好になる。


「ねぇ、どうやって使うの?」


「あ?知らん。なんかパワーみたいなのを感じたら放出みたいな感じでいいんじゃね?」


俺もわかんねぇのよ。俺の場合はなんか使おうって意識すると急にゴォーッと来るんだがね。


「あ、なんか感じる……。それを放出?」


(出来てるみたいじゃねぇか。いけるな)


すると、慎士の顔色は少しづつ良くなっていき、目を覚ます。


「俺は一体………。確か果実を食べて……」


「運悪くあたっちまったのさ。ドンマイ。あと、稲見に感謝しろよ?治してくれたのは友結だがらな」


慎士は復活。友結の方はというと、全然元気のようだ。そして慎士はその友結に


「ありがとう。ありがとう。君は命の恩人だ!傷だけでなくこういった症状を治せるなんてなんと素晴らしい異能力だ!」


「いくらほめても家の件は忘れないから」


一気に顔を暗くする慎士。なんと恨みの深いことで。そんなものは放っておいて、


「どうよ?その異能力。問題ねぇか?」


「いや、別に問題ないよ。でも少し疲れるかな?」


「そうか。ならあまり無茶はしないでおく。お前の手を煩わせるわけにもいかん」


少しでも疲れが出るようならあまり連発して使わないほうがいいな。力の使い過ぎで倒れるやつもいるってマンガであった。


「案外優しいね。まあ、少しずつ慣れていこうかなと思う。龍はそう言っているけど、しっかり見ていないと2人はすぐに無茶しそうだから」


(ふん。心配性なやつだ)


「んじゃ、慎士。復活したことだし計画の話をしてくれ」


「はあ。病み上がりの人をそう動かすなよなあ~。じゃあ、家で話そう」


俺達は慎士側の家へと入り、話が始まる。ちなみに俺はイスに座っていない。壊れて以降具現化してくれなかった。

また作ってくれと頼まんかった俺も悪いが。オメェの席ねーから!とどこからか聞こえてきた気がする。


「他のプレイヤーはこいつで消す。暗殺といったらやっぱり王道はこれよ」


慎士がノートとペンを使い、物を具現化する。ちなみに書くのに2分かかった。それは、黒色の長い物体。


「狙撃銃か……。おい、俺銃なんか使ったことねぇぞ!しかも対戦車ライフルじゃねぇか………」


バイクは具現化出来ないのに何故か具現化出来る狙撃銃君。


「わたしも!使い方分かんないよ!」


そりゃそうだろうな。俺は不良でも銃にまで手を出す程の外道じゃない。調べたりはしたが。何故だろう。凄くこじらせていたんだ。


「安心しろ。できるだけ安定感は増すように色々付けてやるから。あと使い方は龍から聞け」


「そういう問題じゃないんだよぉ……」


俺のことを言うな!使い方は調べて分かっているけどさぁ…。


「まずわたしがそんな物持てるわけないでしょ?」


「友結君はライフルより拳銃派か?ならいいだろう。出してやろう!」


「結局銃なのね………。もういいよ。できれば拳銃より狙撃ライフルがいいな。あまり動くのは得意じゃないから。試し撃ちぐらいさせてよ?」


友結……お前、辞退する気はないのかよ…。

ああ、女子ならそんな物普通使わねぇよ…。


「次にどう動くかだ。龍。お前は名古屋城の上から狙撃しろ。プレイヤーが来たら俺が合図を送る」


「名古屋城からって……。んな無茶な…」


「取りこぼしは友結君が狩るから大丈夫さ。友結君は名古屋城の向かい側にある建物からだ。狙撃は本番中に少しずつ慣れていこう」


「は~い」


ノリのいい返事を友結がする。嘘だろ?

やべぇよ…やべぇよ。こいつらガチで殺る気かよ…。こえーーーー!!


「では、練習をしようか。実戦は午後からでいこう」


「分かったよ」


「あー(返答のつもり)」


こうして、慎士が作った的を相手に狙撃の練習をするのであった。あと、良かったな友結。活躍出来たぞ。


――――――――――――――――――

作者です。少し補足します。[幻想の書]で具現化できるものの範囲ですが、機械などの複雑なものを使っている物体は具現化できないことにしてあります。ならなぜ銃はいいのかということですが、材質がセラミックということになっています。セラミックは金属ではないので、セラミック銃はほぼ非金属でできています。そのため、範囲内に含めました。以上です。










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