〇遊星からの物体X(G)

 1982年 アメリカ

 監督 ジョン・カーペンター

 出演 カート・ラッセル

     ウィルフォード・ブリムリー

     T・K・カーター


視聴 字幕


タグ

 #ホラー #SF #閉鎖空間 #疑心暗鬼 #クリーチャー

 #卓越した造形美術 #グロ #主人公有能


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「隔絶された南極基地で疑心暗鬼!? 触手と擬態と命の輝き……! 生き残るのは人類か、それとも擬態生物か!?」


 今回は『遊星からの物体X』を紹介します。


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~あらすじ~


 時は1982年、南極。

 アメリカ人の南極観測基地は予期せぬ来訪者によって騒然となっていた。

 遠くから走り逃げて来た犬と、その犬を殺そうと追いかけて来たノルウェー人二人組の乗ったヘリコプターだ。


 銃と手榴弾で執拗に犬を殺そうとしているノルウェー人は、一人は手榴弾の誤爆でヘリコプターごと爆死し、もう一人はアメリカ人ごと犬を殺そうと銃を乱射したため、アメリカ人に撃ち返されて死んでしまう。


 犬を保護したアメリカ人たちは、ノルウェー人の基地で何かが起きたに違いないと、ヘリコプターを飛ばしたが、ヘリコプター操縦士のマクレディがノルウェー人の基地で見たのは、爆発と火で崩壊した基地と自殺したと思われる凍り付いた人間の死体、何かが閉じ込められていたと思わしき巨大な氷の棺。そして、ノルウェー人たちが焼こうとしたらしい、生焼けの、身の毛もよだつような骨格をした異形の生き物の遺体だった。


 基地に在ったいくつかの資料と遺体を持ち帰り、解剖して調査していたアメリカ人たちだったが、ただならぬ事態が起きていることにはすぐに気づく。

 保護していた犬が犬小屋で豹変し、異形の怪物へと変化して他の犬を襲っていたのだ。


 怪物と化した犬はマクレディ達によってすぐさま葬られたが、更なる解剖の結果、恐ろしい事態が判明。

 怪物は、他の生き物の体に侵入、同化し、乗っ取って成り代わる、恐怖の擬態生物だったのだ。


 それを証明するかのごとく、ノルウェー基地から持ち帰った生焼けの遺体から伸びた触手にアメリカ人の一人が襲われ、異形化しながらもそっくりそのまま襲われた人間に変化してしまう。

 さらに、保護した例の犬は、豹変するまで基地内部を自由に歩き回っていたことが判明した。


 もし、すでに誰かがこの生き物に成り代わられていたら――?

 お互いの顔を見て疑心暗鬼に陥ったアメリカ人たち。

 そして、人間社会にこの生き物が接触した場合、全人類がこの生き物に乗っ取られるのは想像に難しくない。

 必ず、ここで殺さなければ……!


 今、吹雪と暗闇に隔絶された南極基地で、人間に化けている擬態生物と人類との、壮絶な戦いが始まるッ!


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 感想


 な、なんとおぞましい命の輝きか……!

 なんて、クリーチャーがあまりにも生々しくグロいので注意。


 はい。そんなわけで『遊星からの物体X』の感想です。


 まず、この映画は古い映画で、登場する小道具、特にコンピューターなんかは見たことが無い人も多いんじゃないかってくらい旧式だったりもしますが、そんな古さなんて気にならないくらい、クリーチャーの造形が見事です!


 21世紀の今の様にCGがまだあまり多用されていない時代だからこそでしょうか。

 滴る汁に、体から突き出て暴れまわる触手。肉塊から複数の目が出現してぎょろぎょろと視線を動かし、甲殻類のような細長い足で動き回る……!


 デザインも秀逸ながら、これら全てが非常に生々しくて、ものすごく気持ち悪いです。(べた褒め)


 さらには臨場感を煽るBGMと隔絶されているシチュエーションとが合わさって、シーンと言うシーンが見入ってしまうほどの緊迫感に包まれています。


 そして、これに直面しているキャラクター達、特に主人公のヘリコプター操縦士、マクレディですが、ものすごい判断力と決断力のある人物です。

 最初の犬が変異する時なんかは、犬小屋の方から聞こえて来る犬の怯えた吠え声を聞いて、すぐに非常事態と判断して報知器を慣らしたりして武器を持ち、すぐさま駆け付けたりもしています。


 ただ、そんな有能な主人公ですが、この擬態する『生きもの』が本当に狡猾で、擬態しても姿だけでなく、成り代わる前と変わらないくらい普通に話をしたりもするので、本当に誰が成り代わられているのか見分けがつかない、本当に手ごわい相手です。

 さらには何人が成り代わられているかもわからない状態で人間同士が協力し合うことも難しく、擬態生物は人間達を仲違いさせようとしているのかってくらいの策略も使ってくるので、控えめに言って大苦戦。


 あらすじにもある通り、劇中でノルウェー人の基地がまるまる壊滅してますが、どうしてああなったのかが分かるくらい、アメリカ人の基地でも凄まじい事が立て続けに起こります。


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 総評


 造形卓越度     ★★★★★★★★★★

 生き物の邪悪度   ★★★★★★★★★★

 主人公の有能度   ★★★★★★★★★☆


 終始、緊迫している感覚があり、非常に面白かったです。

 ロストテクノロジーみを感じるほどのクリーチャーは本当に見事で、あの暴れまわる細い触手の動きなんかは「どうやって撮影したんだ?」っと調べたくなるくらいの気持ち悪くて最高でした。

 そんなクリーチャーたちを完全に殺すには、銃で撃ったりするだけじゃなくて、全部焼いてしまわなければならないとか、存在のおぞましさも超一級みを感じます。


 あ、怪物を解剖するシーンなんかは、内臓とかが出ますので、グロが苦手な方は本当にご注意ください。


 ホラー好きな方には超おすすめですが、ラストに爽快感らしきものが無いので、そこも注意で。

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