第30話 上田原の戦い1

佐久郡の制圧に成功した武田晴信。その佐久郡と隣接する海野庄を彼が次なるターゲットに定めることになるのはある意味自然な流れ。そんな海野庄を掌中に収めているのが……。




村上義清「気付いたら最年長。」




 北信濃最大の勢力村上義清。海野平において武田信虎。諏訪頼重と共闘してから7年。その間義清はどのような行動をとっていたのかと言えば……。




家臣「自然災害により作物が採れず。困窮に喘ぐ民を省みず。贅沢三昧の暮らしを続けるのでありました。そんな民の様子を救うべく武田晴信が正義の御旗を掲げ……。」


村上義清「中国で滅ぼされた皇帝が『何故滅びることになったのか』で出て来る記述ではあるが、何もしていなかったわけではないぞ。ほら蔵にはこれだけの蓄えが……。」


家臣「厳しい環境の中、やっとの思いで育てたコメを優位な立場を利用して搾り取るだけ搾り取った挙句。民に還元することはなく、蓄財に励むのでありました。」


村上義清「確かに我が領内の千曲川沿いは大雨の度に水路を変える厳しい環境にはあるが、民に重税を課しているわけではない……。」


家臣「逃げられたら元も子もありませんし……。」


村上義清「彼らも武装してるからな。」




 刀狩前の時代。


 南から武田が膨張し、東の山内上杉が関東での地位を落とす中、義清は。と言うと……。




村上義清「越後が混乱している隙を突き、北信濃に兵を展開しておった。」




 その頃越後は、有力者長尾為景が亡くなったことに加え。越後守護家上杉に伊達から養子を迎える迎えないで国が二分。これに乗じ越後国内の各勢力は、権益拡大を目指し内乱に発展したのでありました。




家臣「そんな中、台頭して来たのが為景の次男。」




 のちの上杉謙信。そののちの謙信擁立に動いている1人が。




村上義清「……高梨なんだよな……。」




 高梨は信濃北部の有力勢力。その高梨と村上は現在抗争中。




村上義清「小笠原とは良好な関係にあるのではあるが……。」




 小笠原が居る西を除く三方から気になる勢力が膨張中。その中において待ったなしの対応が求められるのが。




家臣「武田晴信になります。」


村上義清「諏訪の件。高遠の件。それに志賀城での奴らを見たら……。」




 晴信以前の信濃は、全ての有力勢力と某かの親戚関係にあったこともあり、たとえ武力衝突に発展したとしても最終的には現状維持で収まって来たのでありましたが……。




家臣「やるかやられるか……。」


村上義清「信虎の時みたく。とはならないであろうし。」


家臣「諏訪に負け、円くなった信虎に失望した家臣によって晴信が擁立された。」


村上義清「その急先鋒となったのが……。」

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