チームワーク向上訓練

 エンと兄弟になって一夜が経ちエンも正常に戻り、俺たちはいつも通り朝食を食べてから砂浜に向かった

 

 「全員、私の前に整列!」

 砂浜に着くと、顔に絆創膏を貼った田中刑事が俺達を集める

 「今日はお前達にチームワーク向上訓練を行ってもらう—————お前達4人にはまず、2対2のチームに別れてもらう―――――尚、チーム編成についてはこちらですでに決めている」

  

 そう言うと、田中刑事は俺達4人を勇&エンチームと優&心一チームに分ける

 

 「次にルールを説明する————まず、戦う場所はこの砂浜のみ———ルールは相手を殺さなければ何をしても構わない、以上だ!」

 そう言い終わると田中刑事は時計を見て


 「今から10分後に訓練開始とする、その間に作戦を立てたりするように————私は黒田刑事と話があるため、この場を一旦外させてもらうが訓練開始までには戻ってくる」

 そう言うと田中刑事は黒田刑事と(元)林の方へ歩いていった




 訓練開始の少し前になり田中刑事と黒田刑事が戻って来ると田中刑事が俺達を集め話し始める


 「まもなく、チームワーク向上訓練を開始する――――もう一度言うが相手を殺さなければ何をしても構わない、ただし砂浜から出た場合は失格とする」

 

 田中刑事が時計を見る

 「訓練開始まで残り10秒―――9、8、7、」

 田中刑事がカウントを始め、俺達に緊張が走る

 

 「3,2,1———訓練開始!!」

 

 田中刑事の号令と共に俺とエンは岩陰に隠れる

 「エン、作戦通りにいくぞ!」

 「了解!勇兄!!」

 エンの返事を聞き俺はコインを高く投げる


 コインが地面についたのを合図に、俺とエンは岩陰から同時に飛び出し優の方へ走る

 

 俺たちの作戦はまず厄介な遠距離系の優を抑えてから、数の有利を取った上で心一を倒す・・・・という作戦のふりだ

 

 俺たちが優の方へ走っていくと、それに気付いた心一が予想通りこちらに突っ込んで来る

 

 心一は俺たちの前に立ちふさがり

 「優の方にはいかさねぇ!!」

 そう言うと心一は拳を振りかぶる

 「勇兄の邪魔はさせません!!」

 そう言うとエンは俺の前に立ち心一のパンチを体で受け止める―――――発生した衝撃波で辺りにクレーターが出来る


 「なっ!?」

 心一が驚いていると

 「今だ!勇兄!!」

 エンが叫ぶ

 「あぁ!」

 俺は優の方に走る

 「待てっ・・・!!」

 心一が慌てて俺を追いかけようとするが

 「あなたの相手は私です!!」

 そう言いながらエンが心一の前に立ちふさがり足止めしてくれる

 

 エンが心一を足止めしている間に俺は優のもとに全速力で走る


 ––––––––––––––––––––––––––––


 「何やってんのよ!心一あのバカは!」

 心一の提案した作戦が破綻し、勇が私の方に走ってくる

 「くっ・・・!」(パンッパンッパンッパンッ・・・・!)

 私は勇に向かって発砲するがことごとく鞘ではじかれ、徐々に絶望が近づいてくる

 

 (パンッパンッ・・カチッカチッ・・・)

 「えっ、弾切れ!?こんなところで・・・!!」

 私は慌ててリロードするが、手が震えてうまくいかない・・・・それどころか弾を思いっきりぶち撒いてしまった


 「何で・・・?昨日まで上手くできてたのに・・・」

 私は慌てて弾を片付けるが

 「そこまでだ・・・優・・・」


 そう言いながら、勇が鞘を私の首に当てる

 「手を挙げてくれ、優・・・・俺はお前を殴りたくない・・・」

 「・・・・・・」


 私は銃を置き両手を挙げて降参しようとした―――――――その時、

 (ドンッ!!!!!!ドンッ!!)

  砂浜に轟音が鳴り響く 


––––––––––––––––––––––––––––––

 

 勇兄が優さんの方に走っていくのを確認してから、僕は心一さんの方に向き直る


 「それじゃぁ、心一さん始めましょうか・・・・」

 「あぁ、けど一つ聞かせてくれないか?」

 「何ですか?」


 「俺のパンチを何で生身で受けようと思った?」

 「私が機械の体で丈夫だから―――あと・・・」

 「あと?」


 「いえ、何でもありません・・さぁ、始めましょう」

 「冷たいなぁ・・・ちゃんと、教えてくれよ~」


 へらへらする心一さんに対し、僕は戦闘態勢をとる

 「私の目的はここであなたを足止めする事、ただそれだけです」

 「そう簡単に、俺を止められると思わない方がいいぞ・・・・」

 「それは百も承知です・・・」

 僕は戦闘態勢を緩めず答える

 

 「なぁ・・・もし今、俺が空を飛んだらお前はどうする?」

 「?・・・・何を言っているのか分りかねます・・・・どういう意味ですか?」


 「こういう意味だよ!!」

 (ドゴンッッ・・・!!!)

 そう言うと心一さんは手袋のメモリをひねり地面を思い切り殴る

 

 轟音と共に吹き飛ばされた僕は、岩に頭を強くぶつけ衝撃でシステムがダウンし気を失う



––––––––––––––––––––––––––––––


 俺の前ではエンが戦闘態勢をとり立っている、ふと優の方を見ると勇がどんどん優に近づいているのが見える——————このままいけば優は降伏して俺は数の有利を取られ負ける・・・・・・


 「・・・・・」

 こうなったらあれをやるしか・・・・・・

 「私の目的はここであなたを足止めする事、ただそれだけです」

 「そう簡単に、俺を止められると思わない方がいいぞ・・・・」

 「それは百も承知です・・・」

 エンは少しも戦闘態勢を緩めない・・・どうにかして隙を作らなければ・・・そうだ!!


 「なぁ・・・もし今、俺が空を飛んだらお前はどうする?」

 「?・・・・何を言っているのか分りかねます・・・・どういう意味ですか?」


 エンに一瞬、隙ができる

 「こういう意味だよ!!」

 もうやるしかない・・・・!!

 俺は手袋の威力を体が壊れるぎりぎりまで上げ地面を殴る、地面を殴った反動で俺は天高く跳ねる

 そして今度は手袋の威力を弱めてから今度は斜め下を殴り勇の真上へ飛ぶ


 「勇ーーーーーー!!!!!」

 勇の真上に着き俺は勇に向かって叫ぶ――――俺は手袋の威力をさらに弱め、急降下しながら勇に殴り掛かる

 

 

 ––––––––––––––––––––––––––––

 「ここまでだ・・・・・優・・・・・」

 俺は優の目の前に立つと優の喉元に鞘をあてる


 「手を挙げてくれ、優・・・・俺はお前を殴りたくない・・・」

 俺がそう言うと

 「・・・・・・」

 優は銃を置き勝利を確信したその時、


 (ドンッ!!!!!!)

 砂浜に轟音が鳴り響く

 「!?」

 音のした方を振り向くと

 「エン・・・!!?」

 エンが気を失っていて心一が消えている

 

 心一はどこに行った・・・・?

 (ドンッ!!!)

 「!!!」

 また、音が聞こえたがその方向を見ても何もいない


 「勇------!!!!!」

 俺が心一を探していると真上から声が聞こえ、俺は上を向く

 「心一・・・!?」


 上を向くと心一が上空から殴り掛かってくるのが見えた

 「まだ、勝負は終わらねーぜ!勇-------!!!!」

 間一髪で俺は心一を避ける

 (ドグォッ!!)


 地面が聞いたことのない音を立ててえぐれるが、そんな事に構わず心一は鼻から血を流しながら俺に突っ込みパンチとキックのラッシュを始める


 「オラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァァッッッッッッ!!!!!」

 「クッ・・!クッ・・!クッ・・!クッ・・!クッ・・!クッ・・!クッ・・!」


 俺は心一の攻撃を避ける――――ボディー、アッパー、キック、ボディー、キック、キック、ストレート・・・・・

 心一らしい同じコンボの繰り返しで単純な攻撃だが——————ことボクシング部エースの心一となれば話は別だ・・・・

 異常なまでに速い心一のパンチは避けるだけで精いっぱいなのに加え、優の正確無比な連続射撃も避けなければいけないとなれば状況は最悪だ・・・・・


 もし今の状況でバランスを崩したりしたら俺は間違いなくハチの巣になるだろう・・・・・・・・くそっ・・・・どうにかして隙を見つけなければ・・・・・・・



 ハチの巣になるかもしれない緊張感を抱えたまま1時間ぐらい経った頃―――――

 心一の攻撃を避け続けた俺は、心一の攻撃にようやく慣れ出し反撃の機会をうかがう

 


 今だ!

 コンボとコンボのつなぎ目・・・この一瞬の隙が生まれる瞬間に俺は全力で鞘を横に振る―――――すると心一がニヤリと笑い目の前から消える、

 「消えた?!」

 次の瞬間————

 

 「フングッ・・・!?」

 俺は顎に強烈な痛みを感じバランスを崩す――――その瞬間優の弾丸が肩に命中する―――――――


 「ングァ・・・!」

 俺が膝をつくも容赦なく心一のラッシュは続き、反撃する体力の無い俺は心一の容赦ない連打と優の連射をただ受け続けながら敗北気絶するのを待つ

 

 視界がゆがむ

 

 意識がもうろうとする

 

 ゆがんだ視界の中、心一(?)が拳を振りk――――――――――

 『プログラムに重大な損傷を確認・・・・修復プログラムを起動します』










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