機内にて

 あれから一夜明け俺達はいつもと変わらず学校に登校した

 

 俺達は教室に入り席に着く――――しばらくすると田中刑事と黒田刑事が教室の扉を開け入って来た

 

 田中刑事は教壇に立つと

 「これより、出席を取る」

 そう言うと田中刑事は出席を取り始める、こうやって出席を取る田中刑事の姿は刑事というより新米教師といった感じだ


 「エン」

 「はい」

 エンが無感情で答える


 「横田 心一」

 「はい!!!!!!!!!!!!!!!」

 エンが無感情で答えるのに対して心一は隣にいる俺の鼓膜が破れるほどの大声で返事をする


 「桃園 優」

 「ハイ」

 「神谷 勇」

 「はい」

 俺と優は普通に返事をする


 「以上四名、欠席者なし―――これよりホームルームを始める全員着席―――」


 俺たち全員が席についたのを確認すると田中刑事は口を開く

 「今日から実務部の演習が始まるに当たって幾つかの注意事項を伝える

 まず、今回の演習で負傷、死亡した場合こちら側は一切の責任を負わない又、演習中のボディコンの使用は禁止とする―――――そして・・・・」

 田中刑事はエンの元に行き棒状の物を近づける―――すると、

(バチッ!!!)一瞬、光を放ったかと思うとエンが煙を出して倒れる


 「エンっ!!」

 心一がエンに駆け寄ろうとすると

 「心配はいらない」

 黒田刑事が心一を止める


 「一部機能を制限しただけで死にはしない、それ相応の痛みは伴うがな・・・・」

 黒田刑事はエンを優しく抱きかかえる

 

 謎の棒をしまうと田中刑事は

 「それではこれより1時間程、時間を取る―――――その間に身支度を済ませ校庭に来るように」

 そう言い残し田中刑事はエンを抱きかかえた黒田刑事と一緒に教室を出て行く

 教室に取り残された俺たちは戸惑いながらも身支度を始める


 田中刑事達が出ていってから1時間が経ち、俺たちは思い思いに身支度を済ませ校庭に向かう————するとそこには大型の軍事用ヘリが止まっていた

 ヘリのスピーカーから田中刑事の声が流れる

 【まもなく出発する・・・・早く乗り込むように】

 

 俺たちはヘリに乗り込み席に着くするとヘリの扉が自動で閉まり、田中刑事の声がスピーカーから流れる

 【全員の搭乗を確認――これより離陸する】

 田中刑事がそう言うとヘリが土煙を立て上昇する

 【機体の上昇を確認――催眠ガス噴射準備!!】

 んっ?催眠ガス?


 黒田刑事の方を見ると黒田刑事がガスマスクを着けている

 俺たち3人がパニックになっていると

 「噴射!!」

 田中刑事の声と同時に壁のいたるところから白い煙が噴出し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz・・・・・

 




 「きて・・・・勇・・・・」

 んんん・・・・

 「起きて!!」

 !!

 目を開けると優が俺の顔を覗き込んでいる

 「うぉ・・・!!?」

 俺は変な声を出し飛び起きる(寝起きから美女の顔は心臓に悪い・・・・)

 「もう、やっと起きた・・・」

  

 「ここは・・・・?」

 「おう、やっと起きたかクソガキ」

 俺が辺りを見回していると黒田刑事が操縦席から出てくる


 確か、俺達はヘリに乗って催眠ガスで眠らされてそれで・・・・

 「黒田刑事・・・・俺たちは今どこに・・・・」

 俺がそう聞くと黒田刑事は

 「そんなことは後にして――――――それよりそこの筋肉バカを起こしてくれないか?」

 そういって黒田刑事は自分の顔以上の大きさの鼻ちょうちんを作って寝ている心一筋肉バカを指さす

 「いくら起こしても、全然起きねぇんだよ」


 黒田刑事の頼みを聞き、俺は心一の前に立つ――――すると、

 「ジャ・・・・カ・・・・ンター・・・・・・・」

 心一は何やらぶつぶつと寝言を言っていた

 「ん?」

 俺は心一の口に耳をやる、すると―――


 「アッパーーーーーーーーー!!!!」

 心一はいきなり大声を出しながらアッパーを繰り出す

 アッパーを腹に食らった俺はきれいな放物線を描き吹っ飛ぶ

 

 「勝ったーーーーーー!!!」

 心一は両手を大きく上げて喜びながら目を覚ます

 そして、うずくまる俺を見ると

 「あれ、どうしたんだ勇?腹でも痛いのか?」

 「お前なぁ!?」

 俺は立ち上がり心一に飛び掛かろうとしたその時、


 「ハイ、そこまで!」

 優が間に入り俺を止める

 「喧嘩なんかしてないで・・・・ほら、窓の外を見て!!」

 そう言って優が窓の外を指さす

 

 俺と心一が窓の外を見て

 「「なんだこれ?!」」

 2人揃って大声を上げ驚く


 驚くのも無理は無い――――だって、窓の外には見渡す限りの海が広がっているのだから・・・

 

 「黒田刑事、何ですかこれは!?」

 「何って、海だけど」

 そう言う事を聞いてるんじゃなくて・・・


 「どうして海のど真ん中を飛んでるのか聞いてるんです!!」

 「あぁ、それは・・・・おっ見えてきたぞ」

 言いかけた黒田刑事が窓の外を指さす

 「え?」


 黒田刑事が指をさした方向を見ると中くらいの島が現れる

 「あそこが今回の演習地だ」

 「えっ、島じゃないですか」

 「あぁ、島だ」

 「演習って田舎の山の方とかでやるんじゃないんですか・・・・?」

 「俺もそう思っていたんだが、帝國政府の意向で島でやることになった・・・俺は反対したんだがな・・・・」

 そう話す黒田刑事は苦虫をかみつぶしたような顔をしている

 

 【まもなく島の上空に入る、直ちに着陸準備に入れ繰り返す―――――】

 スピーカーから田中刑事の声が流れる

 「着いたか・・・・よし、お前らこれを着て・・・・あとはこれを背負え」

 そう言って黒田刑事が取り出したのはリュックとナイロン製の服のようなものだった


 「何ですかこれ?」

 「ウィングスーツとパラシュートだ」

 「えっ、もしかして飛び降りるんですか?」

 「もしかしなくてもそうだぞ?」

 そう言ってる間にも黒田刑事は慣れた手つきで俺たち三人にウィングスーツや器具を取り付ける


 「これも訓練の内だ・・・まぁ、FPSゲームだと思えば怖くないだろ?」

 黒田刑事が笑いながら俺の肩をたたく

 「いや、俺FPSやったことないんですけど・・・」


 俺はそう言いながら心一や優を見る

 心一は予想通りワクワクした表情を見せている、そして優はというと意外なことにどこか興奮した様子だ

 「優、怖くないのか?」

 俺がそう聞くと優は興奮しながら

 「全然!!だってFPSの世界みたいに飛べるんだから!!」

 「そういえば、嬢ちゃんはFPS ゲームの世界ランクトップだった時もあるんだってな」

 「何で私の黒歴史知ってるんですか?!」

優が恥ずかしそうに叫ぶ


何でそんな恥ずかしがるんだろう?そう思っていると

 【島の上空に到着、着陸準備ができ次第直ちに飛び降りるように・・・繰り返す】

田中刑事のアナウンスが流れる 

 「よし!!準備完了!誰から飛び降りる?」

 「おれおれ!俺に飛ばせてください!」

 黒田刑事の問いかけに心一5歳児が元気に手を挙げる


 「よし、じゃぁ筋肉バカお前からだ」

 「やったー」

 自分がなんていわれたか気づかずに心一もとい筋肉バカは手を挙げて喜ぶ

 「パラシュートは自動で開くから好きなタイミングd―――」

 「うおおおぉぉぉぉぉ・・・・・!!!!!」

 黒田刑事が言い終わるよりも先に心一は飛び降りていった


 「・・・・・・次はどうする?」

 黒田刑事は何事もなかったように続ける

 「次は私でお願いします!!!」

 優が目を輝かせて前に出る

 「よし、次はおじょ・・・・」

 「ひゃっっほーーー!!!!」

 音速の速さで優は飛び降りていった

 

 

 「最後にクソガキ・・・お前だ・・・」

 黒田刑事が俺を見る

 「・・・・・・」

 俺が固まっていると


 「怖いんですか?勇さん?」

 目を覚ましたエンが後ろから声を掛けて来た

 「エン、起きたのか・・・」

 「えぇ・・・、おかげさまでぐっすり・・・」

 エンは笑いながら話すが目が笑っていない


 「・・・すまない」

 黒田刑事の謝罪に対し

 「何で黒田刑事が謝るんですか?」

 エンは表情を変えずに聞く

 「いや・・・それは・・・・その・・」

 答えに詰まる黒田刑事をよそに

 「ん~~!」

 エンは大きく伸びをすると

 「勇さんが飛ばないのなら私がお先に飛ばせてもらいますね」

 「えっ、もしかして何もつけずそのまま飛ぶのか?この高さを?」

 「大丈夫ですよ、私は大気圏から落ちても大丈夫なように設計されていますから・・・!」

 エンはどこか寂しそうに笑いながらそのまま飛び降りていった

 

 エンが見えなくなりしばらくして

 「どうする?クソガキ?」

 「あぁぁぁぁぁぁ・・・・!!!!!」

 俺は頭を掻きむしりながら叫ぶと半ばやけくそになりながら飛び降りる

 「うわぁぁぁ~~~~~」

 俺は大声を出しながら飛び降りた――――――感想としては・・・・めっっっちゃ楽しかった!!!



  

 




 

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