うちよそ

日泣

アップルパイ作戦 1

目の前に広がる西洋の世界。

白咲の住む日本とはまた違った色とりどりの服装に身を包んだ人々が、目の前を往々と通り過ぎてゆく。

その度に制服姿でこの世界に訪れてしまった白咲は、浮いてないかな。と少しばかり反省する。

だがそんな思考はすぐに街の風景に吸い込まれていった。


ここはヴァーグリード城下町。その名の通りこの街の騎士やその他従事している者が住う、ヴァーグリード城のもとにある栄た街のことである。


レンガ状の鮮やかな建物。賑わう商店。日本では見ることのできない目の前の全ての光景が、キラキラと白咲の瞳に映る。


待ち合わせしていた噴水から昼の時刻を知らせるように、リズミカルに水が飛び出した。

共に、噴水の影から小柄な少女が元気よく飛び出してくる。


「しろさき!お久しぶりね!元気にしてた?」


華奢な体躯を跳ねさせ、雪のように美しい白髪をなびかせる少女。

その鈴を転がしたような声が街に響くだけで、世界の鮮やかさがもっと増した気がした。


「なぎちゃ!久しぶり!元気だよー!」


両者共に思わずハグをする。

抱きつく華奢ななぎちゃの体は、平均的な年頃の女子よりは少し背の高い白咲の体にすっぽりと隠れてしまう。


なぎちゃあらためナギとは、少し前に知り合ったとは思ないほど仲が良い。

彼女はこの街のシンボルでもあるヴァーグリード城に住う、魔女と人間の半端者の12歳の少女である。

ごくごく普通の17歳の高校生である白咲と知り合うことになった経緯は、またの機会にでも話そうと思う。

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