第11話 スタンピード

『それは本当なのか…………!?』


 スキルを使った後、静かに目を閉じると、とある映像が視界に映った。


 聖女が何か耳打ちし、剣聖の表情が驚愕に染まる。


 うん。うまくいったな…………。


 音声、視界共に良好だ。


 それにしても、あの剣聖の焦りようはなんだ?


 聖女様の方も、かなり深刻な顔をしていた。


『確定情報です。


 スタンピードが、【イノ魔の迷宮】にて起きるとの神託が入りました。


 魔物の数は中型・大型を含めても約5万…………ここはただでさえ、前ギルドマスターが不祥事を起こして、多くのベテラン冒険者や職員がその対応に追われています。


 神託によれば、スタンピードが起こるのは早くても明後日の深夜辺りです。


 とても対応が回りません』



 ん? スタンピード?


 それって、よく漫画や小説とかで聞く魔物の大量発生って奴か?


 また、面倒な話だな…………。



『みんなには連絡したの…………?』


『はい。既に【念話水晶】にて、連絡をしておきました。


 ですが、町へ到着するまで、早くても三日はかかります』


 なるほどな…………。


 【念話水晶】って聞き覚えがない名だけど、俺の世界で言えば、電話みたいなもんなのか…………。


 この世界にも、便利なもんがあるんだな…………。


 いやいや、そうじゃないだろう?


 俺…………。


『この事は既にギルド職員の方々にも連絡済みです。


 今、ギルド本部へと通信して頂いているので、詳しくはそちらで…………』


『了解した…………』



「……………………」



 映像が途切れたと同時に、目を見開く俺。


 スタンピードか…………。


 ほんと、召喚されて早々、色んな事が起きるなぁ~。


 そんな事を思いながら、移り変わりしない木製の天井をジッと見つめる。


 果てさて、俺はどうしましょうかね…………。

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