第6話 え? 何?

「せ、【聖女】様!?


 【剣聖】様!?


 ど、どうしてこちらに…………!?」



 え…………?


 【聖女】と【剣聖】って言いました?


 俺らの世界では、勇者とセットで付いて来るあの…………?


 何で、そんな連中がこんな所にいるんだ?



「どうしても何も、あなた方のギルドマスターの悪事を暴いたのは私達です。



 あなた方、職員の方があのく----------------前ギルドマスターの行いの所為で、何かトラブルに巻き込まれていないか、心配になって見に来ただけですよ」



 あの…………今、くそオヤジとか言いかけませんでしたか?



 多分、服装からして【聖女】であるあなたはそういう汚い言葉を思ってても、使っちゃいけないと思いますよ?


 というか、ここのギルマスの悪事を暴いたのあなた達なんですか!?



 そりゃ、大事になるわ。



 って、その【聖女】の隣にいる【剣聖】さん!!


 何、不貞腐れているのか知らないけど、あなたの相方、受付嬢さんと話始めちゃったよ?


 会話に参加しなくても良いの?



「つまり…………あなたは冒険者登録を行いに来たのですね…………?」



 おっと、突っ込んでて、うっかり二人の会話を聞き逃した。



「まあ、そういう事です…………」



 とりあえず、ここは曖昧に頷いておくか。


 どうせ、登録も出来ないみたいだし、さてさて、どうしたもんかねぇ…………。



「だったら、私がそいつの試験官をしてやろうか…………?」



 お、何か、さっきから黙り込んでいた剣聖が口を開いた。


 いやいや、これは進歩だねぇ~…………って、試験官?


 あれ?


 登録出来ないんじゃないの??



 気になって受付嬢に聞いてみると、どうやら、この聖女と剣聖の二人は冒険者ランクでいうSランクの冒険者であり、冒険者登録やランクアップ試験などの試験官を務める事が出来る【特殊なライセンス】をギルド本部から与えられているらしい。



 つまり、剣聖様の試験に受かれば、俺も晴れて冒険者入りって事?


 そいつはラッキーだな!?


 っと、思っていたら----------------



「あの…………やめておかれた方が…………」



 恐る恐る、顔を真っ青にした受付嬢がやんわりと語り掛けて来た。



「確かに、やめておいた方が良いですね…………」



 何か、聖女様もため息混じりに忠告して来た。


 え?


 何?


 そんなに危ないの…………?


 心なしか、俺達の様子を伺っていた冒険者や職員の連中が哀れんだ視線を俺に向けて来る。


 一体、どういう事なんだ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る