鳥籠の街

空白

あぁ、またボクを置いて行ってしまうんだね。

さようなら、さようなら。

隣で羽を休めていた鳥たちが、大きな翼を広げて飛び立つ。

街の向こうへと羽ばたいてく鳥たちの背を、羨望の眼差しで見送る。

空高くそびえる建物の天辺。一人の少年は恐怖を感じさせることもなく、空の向こうを眺める。

沈んでいく太陽。

憧れの向こうへと行ってしまう太陽に、手を伸ばす。

でも、その手は虚空を掴むだけで、太陽はどんどん遠ざかる。

あの向こうには、どんな街があるんだ。

あの向こうには、どんな景色が広がっているんだ。

月が昇るあの果てには、太陽が沈むその先には、

どんな景色が続くのだろうか―――。

そろそろ、日は暮れる。

生者は眠り、亡霊は彷徨う。

さあ、夜の始まりだ。

鐘の音が鳴る。

夜を告げる調べ響くとき。

少年は街の中へと溶けていく――――

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