8頁

多分 今は 平和なのだろう

また 何時 勃発するか分からないけど

人のことでさえ やり切れないでいるのだから


人目見たときから 手をかけずにはいられなかった

やっと立っているだけの ピアノなのに

弾く人もいない ピアノなのに


だから 一層 惹かれるのかもしれない

未だに 放心状態にあって

青年の帰りを 待っているのかと


それは 職業柄なのかもしれない

何台もの ピアノを調律してきたけど

これほどまでも 迫りくるピアノはなかった


この村も 僕には とても切ないんだ

どこか ぎこちない村人たち

それでいて とても暖かい


陽気なおかみさんたちでさえ

青年の話には 目を閏わす

聞くのが 気の毒なくらいに

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る