その花は、国のためか人のためか。数多の思いを受け、長き時を咲き誇る。

長く疾病に覆われ続ける世界に、わずかに咲く、薬草となる花。
病に翻弄され、美しき花を巡る、三人の人物を中心とした物語です。

簡潔な文章なのですぐに読み終えられると思いますが、六万字ちょっとの中に、時を越える壮大な世界の物語が詰まっています。
まるで分厚い一大叙事詩を読み終えたような気分です。
余計な枝葉を削ぎ落としたからこそ、読者が想像をどこまでも広げられる作品だと感じます。

エスター、カロ、グルー。
三人の個性あるキャラクターが何を感じ、何を選択するのか。
悲しみと憎悪が覆う世界に、花がもたらすのは何か。
激動の世界の行方を、ぜひ読んで確かめてください。

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