現在の現場において教員に求められているもの

 現在の教育現場では、学校で起こるどんなことに対しても真摯に取り組む姿勢という資質と、その資質をしっかりと支えるための知識や技術などの能力を兼ね揃えた教員が求められているのではないかと私は考える。

 教員養成の段階で、私たちは教員に必要な能力について学ぶ。教職に関する科目は大きく分けて六つの種類があり、教員としての「意識(精神)」や「理論(知識)」や「教え方(技術)」、また生徒指導や、様々な課題に対する問題意識、そして最後には教育実習で実践を経験することで、教員としての最低限の能力と資質が育まれることになっている。

 しかし、これだけでは教育現場においては不充分であり、教員は実際に教壇に立つ立場となった後も学び続け、成長し続ける必要がある。教育現場では様々な困難や問題にぶつかり、容易に解決できるようなものではない場合も多いだろう。

 それらひとつひとつに対して真摯に取り組む姿勢と、困難な問題にぶつかったときにも諦めない姿勢、これらの資質が教師に求められていると私は考える。

 教育現場においての問題はしばしば容易には解決できない。生徒の問題行動、進路問題など、一例を考えただけでもその性質は察せられる。学校は社会人をつくりあげる場であり、生徒たちは成長過程であるから、当然のことである。教育現場での問題というのは、しばしばそういった困難な性質をもつということを承知した上で、誠実に粘り強く問題にあたっていく能力が求められよう。

 ここで注意したいことがある。教員がただ「諦めずに、頑張っていこう」と心の中で思うだけでよいかというと、そんなことはない。上記の姿勢を真に発揮していくためには、教員としての能力を常に磨き続ける必要がある。教育の理論や技術の身についていない教員に生徒が尊敬の念をもつことは難しいであろうし、また同様に、生徒指導や社会での様々な課題への問題意識の薄い教員に生徒が信頼を寄せることも難しいであろう。尊敬と信頼が揃っていなければ、生徒とのかかわりはうまくいかず、やがてその教員とその生徒たちの教育そのものがうまくいかなくなるのではないだろうか。

 今、教育現場は、アクティブラーニングの導入や道徳教科化などにも見られるように、大きく変化し始めている。新しい世代と新しい教育というなかで、今後どのような問題が起こってくるかは未知数である。学校でのいかなる問題にもめげずに取り組み、そのための方法論として、生徒指導や教科研究や現代社会への関心など、どんな場面でも常に自己研磨を怠らない。そういった教員が、今の教育現場で求められているのではないだろうか。

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