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 「叔父さん、こんにちは。」

 高校生ぐらいの見た目の青年が立っていた。はて、こんな子がいただろうか?叔父さんと言ったからもしかすると・・・

「君、兄さんの子どもの?」

「そうですよ、まさか忘れてなんていないですよね。昔よく遊んでくれたじゃないですか。」

彼はそう言って笑った。

 言われてみればそうだった気がする。家族の反対を半ば押し切っての小説家デビューだから、中々疎遠になっていたのだった。

「いや、今思い出した。それにしても大きくなったなぁ。高校生かい?」

「そうですそうです、もう高校三年生になりました。」

夕陽をバックにしているからか、随分と眩しい。いや眩しいのは夕陽のせいだけではないか。

「てことは、あと半年で受験じゃないか。高三の夏は受験の天王山だとか言うんじゃ無かったっけ。そんな時にこんなおじさんのとこに来てて良いのか?」

「ちょっと息抜きにって感じです。勉強もしっかり頑張ってるので大丈夫ですよ。それにしても、ここは良いですよね。静かだし、空気も綺麗だし、叔父さんもいるし。」

彼はタオルで顔を拭った。

「最後のは余計だと思うけどなぁ。」

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