第3話 交通事故?

『水の女神』らしき女神から選ばれた【勇者】として、魔族を率いて世界を支配しようとしている【魔王】を倒し、世界に平和を…なんて煽てられて異世界に転移したのは良いけど、転移直後のLv.1状態でいきなり中ボス戦かよ!?


『【勇者】に成長されてしまってからでは少々厄介なのでな、【魔王】様の御為に貴様には早々に退場して貰おう』

魔族から凄まじい殺気がほとばしった、だが、そんな殺気にビビるあたしではない!


「先手必勝、『ウォーターボール』!」

あたしは水属性の攻撃魔法を無詠唱で放った、バレーボール大の水の球が魔族に向かって勢いよく飛ぶ!

バシャッ

『で、何がしたいのだ?』

魔族はぶつかった水球でびしょびしょになっただけだった。


「くっ、『ウォーターボール』『ウォーターボール』『ウォーターボール』!」

あたしは攻撃呪文を連続で放つ!

しかし、魔族はズブ濡れになっただけで全くダメージを受けていないようだ。


「水属性魔法使えねぇ~」

水属性魔法はやっぱりのギフトスキルでしかないのか。

『高位の魔法職である魔導師の我の防御結界に初級魔法など効くわけが無かろう』

魔族は水で頭から爪先までビチョビチョになりながら勝ち誇る、ムカツク!


「効かないって勝ち誇るんなら、ズブ濡れになんなよ!」

ていうか水属性の初級魔法しか使えないのにいきなり魔王軍四天王と戦うなんてどんなムリゲー!


魔族に全く効かなかった『ウォーターボール』の呪文を連発したあたしはMPが残り少なくもう魔法は使えない。


しかし、あたしの持ち物で武器になりそうな物は女神から貰った『ひのきのぼう』とか言う“変な棒”か通学カバンの中のカッターナイフくらいしか無いじゃない。


あたしは通学カバンからカッターナイフを取り出すとチキチキと刃を出す。

うーん、切りつけたらペキっと刃が折れそう。

あたしは右手にカッターナイフを握ると、左手に革の通学カバンを盾替わりに持ち、腰を落として身構えた。


『ふむ、気が済んだようなら今度はこちらから・(ドカッ)ぐぼあっ』

「えっ?」

あたしは信じられない光景を目の当たりにして、思わず目を瞬かせた。


『ぐおお・・・』

【魔導鬼】を名乗る魔族は右手の杖を高々と掲げて魔法の呪文を詠唱しようとした瞬間、ダークグリーンに塗られた軍用車輌?に跳ね倒されてその前輪の下敷きになっていた。


「ええーっ、魔王軍四天王がクルマに轢かれてる? こ、交通事故??」


魔族を轢いたクルマはN◯Kの災害のニュースなんかの時に見た事がある四輪駆動のジープや小型トラックみたいなヤツだ。

「えーと、これ自衛隊なのかな?」

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