第32話 長老対談2

長老「体は大丈夫かの?何もかも急ですまぬが、儂の行きつけの店がある、今後のことでちと話さんかの?」


俺とナオキは無言でうなずく


長老はしばらくあるくと脇道の薄暗い居酒屋に連れて行った


それぞれドリンクと料理を1品頼み一息つくと


長老「まず初めに村が無くなった今、うぬらはどうしたい?村の復興は絶望的じゃ、なにより人もおらん」


「……世話になっておいてなんですけど、俺はまた旅に出ようかと思っています。」


ナオキには悪いが、こうなってしまった以上、村の復興に人生かけるより旅をして自分が何者なのかを知りたいのだ そもそもよそ者に排他的で長老とナオキとシカリ以外誰も話しかけてこなかった村だ、復興をしようとは思えなかった。


長老「レイトはそういうと思っておったわい、サポートはさせてもらおう。それでナオキはどうするんじゃ?」


ナオキはグラスをもってうつむいたまま考え込んでいる


(……さすがに俺みたいに村を捨てるようなことはできないか……助けた子供も面倒みようとか考えてるんだろう……)


ナオキ「俺にはやることがある……何年かかってもそこを故郷とする人がいる以上全力で復興させる!」


………長老はしばらく無言でいると


長老「ナオキよ……」


ナオキ「はい」


長老「一つ伝えねばならないことがある、酷なことじゃが…おぬしが助けた子供たちは病院で死亡が確認された」


「なあ!?」


俺とナオキは思わず顔をあげて長老をみる


長老「汚水に触れている時間が長すぎたようじゃ……バクテリアの除去が間に合わず全員が脳死状態になってしまったようじゃ……ほかにも汚水中の未知のウイルスの感染が確認されたため院内感染を危惧し、サンプルの採取後火葬されるそうじゃ」


ナオキ「そんな……!!せっかく生き残ったのに……」


(あの蚊によって広まった森の中のウイルスか、たしかもともと汚水に適応して増殖したんだったな……免疫力の低い子供ではかなりの脅威だ)


長老「すまぬ……!!わしがもっと早く異変に気付いておればこんなことにはならなかった……すべて儂の責任じゃ、だからせめて生き残ったナオキとレイトにはこれからの生き方を踏まえて悔いのない選択をしてほしいのじゃ……」


(……守れなかったと悔いるナオキにはかなりのダメージだろう……これでだれも守れなかったことになるんだから……そんなことを言われてもな…)


長老「……今すぐにとは言わん、帝都にホテルを取ってある。今日はそこに泊まってゆっくり考えりと良いだろう。続きは明日にして、今日は帝都の散歩でもするといい、これがホテルの地図とお金じゃ」




長老はそういとホテルの場所に印をつけた地図と、どれくらいの金額か分からない帝国のお金をくれた




長老「わしはすこし出かける、明日の朝ホテルの入り口で落ち合おう」


長老はそういうとまた姿を消した


俺たちはしばらく無言だったが、俺は気まずくなり


「ナオキ!ちょっと表出ろ!散歩するぞ!」


と提案してみると


ナオキ「……そうだな、それもいいな……」


(やれやれ…まだまだ元気は戻りそうもないな)


俺はナオキを心配しつつ、初めての帝都の街にわくわくしながら店を出た

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