第17話 海の町!? 水着姿は正義!!

十七海の街!? 水着は、正義!!




シルクとのやり取りに、ゼクサスかっけぇーと思っていてある事実に気がつく。

あれ? 主人公って俺だよね、ゼクサスの方がよっぽど主人公してんじゃん!

俺がそんなことを考えていると、


「あっ! 宿に泊まるのって、今日の朝で最後だったじゃないの!」


ローズの言葉に全員の思考を停止させる。

俺達は急いで砂漠の月に帰って、荷物をまとめ、オアシンバをあとにした。

広大な砂漠を、やっとの思いで抜けたのに、まだ目的地につかない。


「なぁゼクサス、王都にはもう少しなのか?」


「いや、まだまだこれからだぜ! この後は近道のために海を渡る!」


諸君、すまんが俺もこの国の形も知らない。どんな大陸でどんな国なのか全く分からん。優秀な主人公だったら国の形ぐらい説明するんだろうな。作者もバカだから、きっと国の説明してないだろうな。


「ねぇ、シュウは前からさ、ちょくちょく心の中で諸君とか言ってるけど誰とおしゃべりしてるの? それに、作者って誰? なんの作者?」


説明するのは難そうだな。ん〜・・・・・・そうだっ!


「異世界転生したから俺は主人公! そして、 主人公ってのは必ず誰かに観られてんだよ。アニヲタって集団が俺の思考を読み取り、共感しているのだ! そんなアニヲタ達に語りかけない主人公はいない! それに、作者はどんな物語にも付き物なのだ! わ〜はっはっ!」


ヒナは若干ひき気味だ。ついでに聞いていた皆んなもひいている。

俺が判断を間違えたと反省していると、


「あっ! 海だぁぁぁ! 海が見えるぞーー!」


ゼクサスは海を見つけ、皆んなを置いて、先に走り出した。


「なっ! オイラが一番乗りだぞぉぉ!」


俺の目の前に広がっていた景色は、美しい海と大きな街、何処までも澄んだ空。

街の建物はレンガ造りで、屋根はオレンジ色の瓦みたいなもので統一されている。


「この街はなんて言う名前なんだ? 」


「海の街、シャペル。この街に来たくて王都や地方からも大勢の人が来るのよ。ねぇ〜ヒナちゃん」


「ん」


ローズがヒナの頭を撫でながら答えた。

そんな会話をしながらゆっくりと街へ行き、先に走り出していたゼクサスとハーツに追いついた。


「三泊させてほしい!」


騒がしい奴がいるなと思っていたら、ゼクサスが大声で宿の従業員と話していた。今回は運良く部屋は空いていたようだ。ヒナとローズがゼクサスを褒めている間に、俺はハーツを見つけた。


「ハーツ、何してんだよ? 海来たのに泳がねぇのか? 」


「ふっふっふっふー。シュウ君よ、何を勘違いしているのだね。オイラは泳がなくてもいいのだよ。なぜならば・・・・・・・・・ヒナとローズの水着姿を見るために水着を買ってあげるのだぁぁぁぁぁぁ! 」


「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 流石っすハーツ先生ぇぇぇえ! 」


という訳で俺とハーツは必死で水着を探してる。


「おいぃぃぃぃ! ハーツ何選んでんだよ! その水着じゃあ、狙いすぎだろ! 紐じゃねぇかよその水着! 」


ハーツが手に取っていたのは、体を隠す面積が少ない水着だ。いや、水着というよりも紐だ。

諸君、安心してくれたまえ。俺は女の人にプレゼントしたことは無いが水着のセンスならある。なぜなら、アニメで可愛い水着を見まくったからな!


「シュウーー! それ貝殻じゃん! 水着じゃねぇぇから! 」


俺がせっかくいいの選んだのにハーツに却下された。


諸君、貝殻は色々攻めすぎかもしれないがな、ヒナには少しお子様な感じなのに色があるっていう設定で攻めたかったんだ俺は! さらに、ローズは圧倒的なボディラインを持ち合わせているので貝殻が映える! 二人で同じ水着なら着るがわの人も少し着やすいのではないだろうか!


ハーツと一緒に水着を探していたら、すっかり辺りが暗くなってきた。


「やっと見つけた! お前ら早く来いよ! 宿でヒナとローズが待ってんだからよ! 」


ゼクサスに引きずられながら俺とハーツは店を出る。

俺達が泊まる宿は、真珠憩いという名の宿で、温泉付きの高級感溢れる宿だ。

俺達が部屋に入ると、


「おかえりなさい」


浴衣を着たヒナがいた。線が細く、触れたら消えてしまいそうなほどに美しかった。


「ローズさんならまだ温泉に入ってるよ」


「ん? あ、あぁ、そそそ、そうか」


ゼクサスの野郎、またヒナに見とれやがって!


「オイラ・・・明日死ぬのかな? 」


ハーツ感動中であります。

正直、俺も明日死ぬかもしれん。なぜなら、俺のどタイプの女の子が浴衣みたいなの着てんだぜ! 人生の運全部使い切った気がする。


「あら、やっと帰ってきたのね」


ローズも浴衣姿。

あぁ、神よ、ありがとう。地上に女神を創造したであろう神に手を合わす。


「そういえば、明後日この街でお祭りがあるみたいなよ」


「へ〜。なんの祭りなんだ? コミケとか? 」


「こみ、け? 多分シュウが考えてるのではないと思うわ。シャペルのお祭りは、この街を守っているとされる聖剣に感謝を伝える祭りなのよ」


「その聖剣って持ち主いるのか? 」


「いないわよ。」


「よし! 俺がその聖剣抜いたるわぁぁぁ! 」


俺はその場でキメ顔ガッツポーズをすると、ヒナが何かを思い出したように、


「そういえばね、そのお祭りの最後には聖剣を抜いてみてもいいみたい。誰も抜いたことないらしいけどね」


「大丈夫だよ、ヒナ。シュウは主人公なんだからね〜」


「ハーツてめぇ、バカにしてんな! 」


しばらくの間、俺達はわちゃわちゃしていた。


「明日、皆んなで海泳がない?」


ヒナの一言で男全員の動きが止まった。

諸君、状況を一緒に整理しよう。銀髪ショートの可愛い系美少女と、ふんわりロングの大人の色気プンプンの綺麗系美女。この二人と一緒に海に行けるということは、必然的に水着姿を拝めるということなりぃぃぃぃ!

女の子とあまり喋ったことがない俺からしたら大事件である。


「いやらしいこと考えてるでしょ! 変態! どうせ男なんて、私なんかよりも綺麗で可愛い大人の女性の方が好きなんでしょ! ふん!」


ヒナが頬を膨らませて怒っている。


「・・・・・・・・・」


え〜と、諸君、俺が何を思っているかもうお分かりだろう。可愛い子がちゃっかりヤキモチ妬いて怒っているのだ! とてつもなく可愛い!


ということを考えていると、ヒナの顔がどんどん赤くなっていく。

多分皆んな同じ俺と同じことを考えていたのだろう。その考えをヒナはスキルで読み取ってしまったて、かえって恥ずかしくなってしまったのだろう。


「もういい、おやすみ」


「おやすみ〜」


ヒナとローズは女子部屋へと行ってしまった。

俺達男子チームは、明日の楽園ことが頭から離れないので、一言も発することなく毛布をかぶり寝につく。


諸君に主人公いや、男として伝えたい事がある。


水着は正義!!!


以上。



▪▪▪▪



俺はこの時に気付くべきだった。

何故、異世界なのに言葉が同じなのか。

何故、異世界なのに日本の文字と同じなのか。

何故、異世界なのに植物や動物の名前、料理名などが同じなのか。

そして何故、浴衣があるのか。


俺がこの世界に来た時から既に、残酷な運命は動き出していた。


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