(三)‐10

 シッコは実験棟へと泳いでいった。

「船外作業ならジョバンニがいるじゃない」

 チッチの声がした。

 ジョージが実験棟の方を振り向くと、ブロックの入口からチッチが顔を出し「こっちに来なくてもインカム付けているんだから聞こえているわよ」と言った。

「ジョバンニはダメだ。規則上、彼に作業をさせるわけにはいかない」

 そう聞いて嫌そうな顔をしたチッチが、ジョージの方へ泳いできた。

「実験中だったのか」

「ちょうど始めようとしていたところよ」

「問題がなければすぐ終わる。手伝ってくれ」

「わかっているわ」


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る