40歳を過ぎても女性の手を繋いだことのない男性を私が守るのですか!?

鈴木 トモヒロ

私、不吉な影が見えちゃうんです!

(この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。)



「佳澄!卒業おめでとう!」

私は葉山佳澄。

先日、女子大を卒業した。


ついに、華の女子大生ではなくなってしまった。


祝ってくれたのは、おじちゃん。

どんな時も前向きで元気いっぱい。

このおじちゃんと私は2人暮らしをしている。


実はおじちゃんと私は血の繋がりはない。

まったくの他人なのだ。


それが何故、一緒に暮らしているかって?


それは話が長くなるので、改めて機会を取ることにするわ。


このおじちゃん。

実は一途に思い続けている人がいた。

「その女性以外は愛さない」と言い切って、今に至る。


一途に思う女性は結婚を誓い合った中だったらしいけど若くして病で亡くなっている。


おじちゃんは女性と手を繋ぐこもすらしたことがない、純粋そのものの人だ。


年齢は確か...

60になるんじゃないかな?


そう、噂では男性は女性と手を繋ぐ以外のことをしないで30歳を超えると「魔法使い」になれるらしい。


60歳を超える、おじちゃんは...

「賢者」?


肩書きはカッコイイけど...


あっ、おじちゃん。

また転んだ。


「!?」


やっぱり、おじちゃんの足元に獣みたいなザワザワした影が見える...


おじちゃんが言っていたのだが、40歳を過ぎた頃から身の回りに危険なことが起こりやすくなったそうだ。


階段を踏み外したり、お風呂場で滑ったり。


良く体のあちこちにアザを作っている。

(歳のせいかなぁ?)

と、思うケド...。


私には気になることがあった。


そう、さっきおじちゃんが転んだ時に見えたザワザワの影。


黒と灰色がまざりあっているような色。


普段は見えないけど、おじちゃんが危なっかしい時にフワッと見えることが多いのだ。


初めて見えたのは、高2の時。


おじちゃんが私の前を歩いていると、斜め右後ろにフワッと黒い影が浮かび上がった。


そして影はフワッと浮き、おじちゃんの上半身を覆うように広がった。


「あっ、100円見っけ!」


おじちゃんはその場に止まり、100円を拾おうとかがんだ。


黒い影は何故かピタリと止まり、色が薄くなって消えてしまった。


次の瞬間。

「ガシャーン」と音がした。

植木鉢が割れている。


「100円を拾わなかったら、当たってたな。俺ってラッキー!!」

と、おじちゃんは笑っていたけど、命が危なかったと思った。


さっきの黒いの、なんだったんだろう?


それからは、大変だった。


1日1回は必ず危ないことが起こるおじちゃん。


自ら災を引き寄せているようにしか思えなかった。


街を歩いていても黒い影は見えた。

必ず年配の男性の側で見える。


人と同じような動きをしていて、

人が歩くと歩き

走ると走り

車に乗っていると車内にすうっと入っていく。


止まったり、休んだり、寝ている時は害はないみたい。


でも決まって黒い影の側にいる男性に悪いことが起きる。


転んだり、財布を落としたり、酷いと大怪我をしたり...


不幸は様々。


私には見えている黒い影は、他の人には見えていないようだった。


おじちゃんにも、相談したけど

「そんなの気のせいだよ。気にしない気にしない」

と、ちゃんと聞いてくれなかった。


おじちゃんは、不吉な影を引き寄せても、持ち前の明るさと前向きさで、軽傷にしているのかもしれない。


あと不思議なのは影の側には女性の姿が見られないこと。


何か、原因に関係あるのかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る