士郎と和哉は隠り世へ戻ってきた。今いる場所は、居候屋の物置部屋である。


和哉の父親である武雄からの電話を待つ間、居候屋として会話が弾むように遊び道具ガラクタあさっていた。


「父さん、昔これで遊んでた!」


そう言って和哉はガラクタとガラクタの間に挟まった物を思いっきり引っ張っる。


「わわっ‼︎」


「うわっ、ちょっ⁉︎」


崩れゆくガラクタに、和哉はおろおろし、士郎は身体をのけぞらせた。


避ける間も無く、ふたりしてガラクタの山に埋もれてしまう。


間にはさまっているものを無理矢理引っ張っり出せば、どうなるかは一目瞭然いちもくりょうぜんである。


しかし、年が十の和哉は経験が少なく推測するのは難しいことだったのかもしれない。


「大丈夫? 怪我はない?」


「うん、ごめんなさい」


心配して和哉の顔を覗き込んだ士郎に、和哉は眉を下げて謝った。士郎は尻もちをついた和哉に手を差し出して立たせる。


隠り世はあやかしと死者の住う地である。故に、死者はこの地では肉体をもつ人間と同様に怪我をすることもあるのだ。


和哉と相談しながら、城島家へ持っていく物を決めて、大きなリュックサックにつめて準備を終えた。

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