第34話恋人についての話題

夏花の元カレと出くわした数日後、暇をもて余した俺は、夏花に頼まれたケーキを買いにこぢんまりとしたケーキ屋に来ていた。

店内には、俺以外誰一人客が居ない。

店内に流れる落ち着いたBGMと冷房が相俟って、癒されたのも束の間、ショーケースの後ろに佇む店員が真瀬だと気付き、気まずい。

「いっ、いらっしゃいませ......」

「えっと......モンブラン、チーズケーキを一つずつ。ああっと、苺のショートケーキも......持ち帰りです」

俺は、真瀬に頼み財布を取り出して支払う。

注文したケーキが入った紙箱を受け取り、店内を出ようと扉のドアノブに触れようとした瞬間、呼び止められた。

「香河先輩っ!夏花のことで悩みがあるんですが、良いですか?」

「夏花のこと?夏花ならいつも通りだけど......俺は良いけど、真瀬さんが──」

「もうすぐ休憩なので、イートインコーナーで......」

「分かったよ。真瀬さん」

返事をして、イートインコーナーのカウンター席で彼女を待つことにした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る