太陽の照らすさき

六堂 夜

夢と現実。

俺は大野陽介ペンネームは秋山桜だ。

薄暗い汚いアパートに住んでいる小説家だ

夕方に起きては夜に居酒屋のアルバイトは行く

そしてたま〜に誘われて高校時代の友人と飲みに行く。こんな生活を続けてもう2年近くが経った

時々、先の見えない生活に恐ろしくなることがある

このまま俺が死んで世界は何か変わるのだろうか

そりゃあ家族や友人、少しは悲しんでくれるはずだ

でも時間が経てば

「あいつ自殺したらしいよ」

「なんか変わったやつだったよな」と

笑い話にされ、誰かの酒のアテになる

そしてすぐ忘れられていくはずだ

ならばいっそのこと誰か殺してやろうか

大量殺人でも起こして一生忘れられないように

歴史に名を刻んでやろうか

なんて夢の夢のような妄想をしてしまう

どこかで変わらなければいけないと

分かってはいるが行動に起こす気力などは

もう少しも残っていなかった。

高校生の時、俺が趣味で書いていた小説が

たまたま賞を受賞した

応募できることを知って、なんの気無しに

応募してみたのだ。そしたら才能があるだの

騒がれて、特別審査員賞に選ばれた

特別賞だったが認められて嬉しかった

周りとは違う。俺は特別なんだ。

選ばれた人間なんだ。そう思うことができた。

でもそれは勘違いにすぎなかった

特別なんかではなく普通だった。

少し評価されたぐらいで浮かれていた

所詮、ただの一つ趣味を持った平凡な人間。

平凡な人間は小説家になんてならずに

どこかの誰かと同じように勉強をして、

どこかの誰かみたいに大学受験をして、

どこかの誰かが作った企業に就職して、

年を食っただけの大人に残業させられて

いつかは美人ではないがそこそこの女性と

結婚して子供が産まれ、孫が産まれ

孫の成長を横目に老いていき死んでいく

そんな誰かが決めたわけでもないが誰もが

描くような平凡な人生を送るべきだった。

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