もしも願いが叶うなら

「ねぇどうしよう、本当に助けて!!」

 次の日の朝、私は彼女に会うなり挨拶もそっちのけでこう訴えた。

さすがに状況を理解できない彼女は頭にハテナをたくさん浮かべてしばらくフリーズしていた。


「お、おぉう.......。とりあえず落ち着け?私が知らない間に何があった.....?」

そんなの私にだってわからない、分かっていたどうにかしてに解決するように努力していると思う。

「昨日......部活が休みにだったから運動部の方見に行ったの.....。」

 昨日自分の中で起こったことを最初から最後まで順に説明していく。

 全部説明し終わると、彼女はニヤニヤしながらこう言う。


「それはあれだねぇ.......もう恋に落ちてるね。」

 やっぱり、これが恋なのか..........このざわめく気持ちも変に焦ってしまうのも全部、全部.......。

 私がブツブツ考えていると、彼女がこんなことを言い出した。


「ねぇ知ってる?人は七秒見つめ合ったら、恋に落ちるらしいよ。機会があったらこんどやってみ?」

 七秒見つめ合ったら恋に落ちる。それは都市伝説とか、そういうものなのかもしれないけれど、自分で何もしないよりはマシな気がする。


「いやぁ、七ちゃんにもついに恋の季節が来ましたかぁ........いいねぇ」

 自分も恋をしているくせにそんなことを言える彼女が羨ましい。私より余裕で、ずっと大人に見える。


「そっちだってしてるじゃん、最近どうなの?」

 私がこう聞くと彼女は、恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 私も想いを伝えれば周りの恋人達のように、彼にとっての一番の存在になれるのだろうか。

 もしも願いが叶うのなら、そうであって欲しい。

 それが今、私のたった一つの望みだから。


 その日は一日、授業にあまり集中できなかった。


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