第2話

「で、そのいい案ってなんなわけ?」



プリチーキュートのレナがライエルにきく。

相変わらず可愛い。現世なら子役とかなれたんじゃね?ってレベルだ


「魔法だよ、魔法。吟遊詩人の姉ちゃんの詩にも出てきてただろ?魔物を燃やし尽くす火の魔法とか、一瞬で氷漬けにする魔法とか!英雄になるなら魔法の1つや2つ使えねえとな」


「確かにそうだね。僕たちも7歳になったら生活魔法は使えるようになると思うけど、それじゃ戦えないしね」


……忘れてた!!!

この世界では7歳になるとステータスプレートが貰えて、それと同時に生活魔法が使えるようになるんだった。この話を聞いたときはへえ〜くらいにしか思わなかったけど、今は違う。

前世の記憶を取り戻した俺にとっては大事件すぎる。まず、ステータスプレートなんてものがあるんだから、ステータス制なんだこの世界は。そういえばルークのステータスプレートに数字みたいなのがあった気がする。こっちの文字はまだ勉強中なんだよな。

何はともあれこれは7歳で俺の天才的なステータスがお披露目になるわけだ。

クウ〜〜〜今から楽しみだぜ!!!!

でも生活魔法以外の魔法なんて見たことないんだけどな…

いや!ここはチート持ちの俺様が指南して尊敬される場面ってわけだな!

ここからが俺の英雄譚の始まりだぜ!!


「魔法だったら俺が教えてあげようか?」


「はあ?お前なんかが魔法を使えるわけねえだろ」

とライエル


「つ、使えたらすごいけどカイ君本当に使えるの?」

とガーゴン


「その〜、カイ?無理しなくてもいいのよ?」

とレナ


コイツら…完全に俺を疑ってやがる。まあ仕方ないか。俺は今朝まではどこにでもいる田舎の村の子供だったんだからなら、そう、今朝までは!!!

コイツらも実際に魔法を見れば信じるか。


「覚醒した大魔導師の力を見せてやるぜ!!

ウオオオオオオオ、”ファイヤーボール”」


………………アレ?おかしいな


「”ウォーターポール”ウィンドアロー”くそ!”アブソリュートゼロ!””ファイヤーアロー””メテオ””ギガデ○ン””エグスプロ○ジョン”」


………………………


「ハッハハハハ!やっぱ嘘なんじゃねえかよ!!なにが覚醒した大魔導師の力だよ!」


ゲラゲラ笑うライエル。ゴードンにレナも堪えきれずに吹き出している。

おかしい、魔法チートじゃなかったのかな?


「はあ、笑った笑った。このバカはほっといて俺が言いたかったのは村長のことだよ」


「村長?なんで村長が出てくるの?」

笑いすぎて涙目になっているレナが聞く。


「何年か前、森から魔物が村に迷い込んだことがあったろ?その時、村長が魔法を使って魔物を倒したっていう噂を聞いたんだよ」


村長が魔法を使って…

あのヨボヨボのおじいちゃんが魔法を使えるなんて想像も出来ないけど。確かに見た目だけは貫禄があった。


「じゃあ早速村長に教わりに行きましょう!」


「おう!覚醒した大魔導師様は教わるまでもないだろうけどな」


「み、みんなで行こうよ」

「そうよ!ライエルも意地悪しないの!」


ガーゴン、レナ…

2人にもイケメンチートで恩返しするからな。


「チッ!早く行くぞ!カイ!村長の家まで競争だ!!!」


このツンデレちゃんにもちょっとだけ恩返ししてやるか。


「おう、1番は俺がもらったぜ!」


これが青春か。。。(違う)



「ごめんくださーーい、ごめんくださーい」


戸ドンドンと叩きながら村長を呼ぶ。


「なんじゃ昼間からうるさいのう、む、お主は確かルークのとこの倅か」


「はい!僕たち村長に魔法を教わりたいんです。」


「魔法だと?なんでまたそんなもの。それにわしは魔法なんか使えんぞ」


「嘘つくなよ!俺知ってんだぜ村長が魔法で魔物倒したの」


ライエルが村長に問いかける


「はあ、使えんと言ったら使えん。分かったら帰れ」


「いやです、僕たちは冒険者になって英雄になるんです。教えてくれるまで帰れません。」


「冒険者に…血は争えんというやつか。」


「え?」


「なんでもない。分かった教えてやろう。」


「やったーー、ありがとうございます」

飛び跳ねて喜ぶレナも悪魔的に天使のようなかわいさだ?

それに、思ったよりすんなり教えてくれるんだな。


「まあ今のお前たちでは、1つも使えはせんがな」


「魔法が使えないってどういうことだよ!」


ライエルの言うとおり魔法が使えないってのは大問題だ。


「今はと言っただろう。今の貴様らはステータスもなければ魔力量も足りん。ステータスプレートをもらうまでは魔法の理論と構築方法を学んでもらう。」


俺が魔法を使えなかった原因が分かった。そういうことだったのか。ということはやはりステータスプレートをもらった時俺の覚醒が始まるんだ。。とりあえず今は修行だ!!


「師匠これから毎日お願いしますね」


「ま、毎日じゃと…まあいいか、お前達が本気で冒険者になりたいと思うなら勉学にも励むことじゃ。脳筋ではすぐに死ぬのがオチだからな、それと師匠はやめろ」


「「「「よろしくお願いします師匠」」」」


尊敬する師匠のことはしっかりと師匠って呼ばないとね


―――――――――――――――――――――――――――

それから俺たちは1年間魔法というものについて師匠から学んだ。この世界の魔法は正確には魔法スキルって言って、大体が俺の想像通りのもので、魔力を体内で循環させ一箇所に集め、魔法をイメージする。


そこからは師匠曰く才能だそうだ。イメージする力と魔力量は訓練すれば増やすことができるけど、具現化することがめちゃくちゃ難しくて、努力ではどうにもならないみたい。

俺は大丈夫だけど、他の3人が心配だよ。


ちなみに生活魔法は魔法名を詠唱すれば、具現化まで自動でできるんだって。これをオート魔法スキルっていう。

ステータスプレートの能力らしい。

ダンジョンの宝とかでも生活魔法以外のオート魔法スキルが稀に出るらしい。

ダンジョン。待ってろよ俺たちが冒険者になったら片っ端から攻略してやるからな。


魔法以外にも師匠からは多くのことを学んだ。例えばダンジョンは無数に存在するし、中の魔物を放っておくとダンジョンから魔物が出てきてしまう事。


この世界の1日は24時間で、時計はあるけど高いので一般家庭にはない。それと、暦の文化は無いらしい。1年はだいたい360日くらいっぽいけど正確には分からなかった。

暦もないから誕生日とかいう概念もない。前世でも祝われた記憶なんてほとんど無かったから忘れてたよ…


あとは、通貨は、銀貨1枚で日本円の100円くらい、銀貨1000枚、つまり日本円で1万円で金貨1枚の価値。金貨100枚で白金貨1枚の価値らしい。

白金貨は一生見ることない人がほとんどみたいだけどね。



そ!ん!な!こ!と!よ!り!

今日がなんの日か分かる?分かる?分かんないよねチートないもんね。それは関係ないか。

今日は待ちに待った覚醒の日。そう、ステータスプレートが貰える日なんだよね!

これ、プレート貰えるようになるんだと思ってたんだけど違ったんだ。仙術っていう魔法とは違う力を使う仙人とかいう人がいて、その仙術を力でステータスプレートを体内から取り出せるようになれるらしいんだけど。

体内の中にステータスプレートがあるの?どこにあったの?って感じだけどファンタジーだからつっこまないことにしたよ。

チートがもらえるならなんだっていいからね。



「あら、楽しみで楽しみで仕方ないって顔ね」


「カイのやつ、1年くらい前から楽しみにしてたもんな」


「そうなんだよ!母さん、父さん。待っててねもうちょっとで楽させてあげるからね」


「まあ、頼もしい。でも、カイはそんなこと気にしないでいいのよ?」


「そうだぞー、カイ。子供は伸び伸び自由にがうちの方針だからな。

まあ、お兄ちゃんになったんだし。しっかりするのはいいことだけどな。ねー、ノアちゃん」


俺の可愛い可愛い妹のノアを抱っこしながらルークが言う。

そう。俺はお兄ちゃんになったのだ!!!ノアは銀髪紫目で顔立ちもアイリス似なのできっとこのまま可愛く育つだろう。さすがは”顔がいい”夫婦だぜ!

前世ではきっといいお兄ちゃんではなかったんだろう。俺は弟に嫌われていた。でも、俺はこの世界で前世のようなことは繰り返さないと決めたんだ。立派なお兄ちゃんになってあげるからね、ノアちゃん。


「ほらほら、手を止めてないでご飯食べちゃいなさい。遅れちゃうとステータスプレート貰えなくなるわよ」


「はーい」



村の広場に行くともうみんな揃っていた。


「相変わらずギリギリだな」


いつもなら言い返していただろう。しかし!今日の俺は、今日からの俺はこれまでの俺とは違うのだ。

俺はライエルに素敵な笑みを返しておいた。

何故かオエーなどと言っているが知らん。あんなバカは放っておこう。


「皆さん集まってください。」


仙人らしき人が俺たち4人を一箇所に集めた。

どうやら1人づつではなく同時に行うようだ。


………

「ハイ、終了しました。ステータスと念じてみて下さい。」


へ???なんか詠唱したりとか光ったりとかないの?ただ立ってたら終わったんだけど。

まあいいか!!それよりチートだチート!


ステータス。俺は頭の中で念じた。すると目の前に半透明板が出てきた。

これだよこれ!!!さてと、俺はどのタイプのチートだったのかな?


名前:カイ

攻撃力:3

防御力:2

魔力:6

素早さ:5


―スキルー



え?

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