第21話 まだらのひも

 ジュニア文庫の公募の時期になると、進研ゼミ的なあれに読み物として載っていた「まだらのひも」を思い出します。


 私はシャーロック・ホームズよりはアガサ・クリスティーの小説の方が好きで(ポアロとは言わない)、あんまりホームズの話を読んではいないのですが、それでも印象に残っている話が「まだらのひも」です。

 これは短編集を買ったとかではなく、小学校の時にやってた進研ゼミ(チャレンジだったかもしれないけどまあそういう感じのアレ)の巻頭付録みたいな感じで、まだらのひもが載っていたんですよ。それを読んで。名作に触れようとかそういう意図があったかはわからないけど、まあそういう感じであったんですよね。


 まだらのひもが面白いとかつまらないとか、そういう話をしたいんじゃなくて、そういう出会いがあって。進研ゼミはため込んでしまうタイプだったけどそういった付録の読み物とかはちゃんと読んでた。それでまだらのひももちゃんと全部読んだ。

 その思い出があるせいか、今でもホームズと言えばどんな話と聞かれると、私は真っ先に「まだらのひも」を思い出します。


 緋色の研究とかバスカヴィル家の犬とか、もっとメジャーなものはあると思いますが。それこそマイクロフトとかモリアーティとか出てくるやつとか、派手なやつね。私は大人になって食わず嫌いはやめよう、名前だけ知ってる本をいっぱい読みたいと思って、ホームズ全集も買ってはみたものの(しかも日本語版と英語版両方持ってる。英語版はバーゲンブックで半額になってたので衝動買いしました。どうでもいいけどペーパーバックって私大好きな装丁なんですよ)まだ全然読めてないし。それこそBBC版シャーロックで元ネタちょっとかじったくらい。エレメンタリーも観てるよ。ミーハーここに極まれりってノリで。


 幼いころに読んだ出会いってのも大きいのかもしれない。私の中では今でも青い鳥文庫と言えば大草原の小さな家のままです。小さいときに読んだ本は、まあたくさん買えなかったのもあるけど、何回も何回も朝読書の時間とかに読んでいたし、展開がわかっていても楽しくページをめくってしまうし、ボロボロになってもランドセルに入れてしまうんだよなあ。

 運命の一冊「そして誰もいなくなった」は、私にとっては中学校の時に買ったあの本の印象だし、カバーボロボロで日に焼けて汚れてしまっているけど、今も本棚に並んでいます。読むならもっと新しいのを買って読むべきだと思うよ。でもそういうのって、なんとなく「思い出」がある気がして、もう読めなくても捨てられないし、本棚に並んでるだけで妙に安心するというか。私の本棚はそういう意味で現役で読めるものはそこまで多くないけど、手元に置いておきたい本が並んでる本棚です。

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