第5話

 涼真とマナがとある人物のところに向かっている一方、天聖では……。

「シル!ちょっときて!初期装備か届かなかったのと、お金が渡せなかった原因が分かったわ!」

「ほんとですか!?一体何が原因だったんでしょうか?」

「実はーーー」

 シャーロットは調べて分かったことを全て話した。

「え、えっと、つまり、涼真君は魔王の生まれ変わりで、膨大な魔力のせいで天聖から転移するとき何も持っていけなかったんだ。で、初期装備のは魔界からの仕業、ってことですね?」

 魔界っていうのは、魔王が作った世界であり

 魔族やら魔物が沢山いるところだ。

 今は『六魔凶ろくまきょう』という魔王の6人の側近であり魔王の次に強いと言われてる。

「そうよ、でも、魔界がこんなことしてくるってことは分かるわよね?魔王の生まれ変わりを迎える準備をしている。つまり下界が魔界に取り込まれちゃう可能性があるってことなのよ。」

「じ、じゃあどうすれば良いんでしょうか!?」

 シルフィーは下界の心配をしてかとても不安そうだ。

「そうね。まずは、もっと情報を集めるところかしら。情報は多く持ってたほうが便利だからね。」

「分かりました!ではこれからも大変になりそうですね?」

「えぇ、頑張ってちょうだいシルフィー」

「はい!」

 シルフィーとシャーロットは今後のために情報収集を続けるのだった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ここがその場所か」

 涼真達の前には豪邸ごうていレベルの大きい建物が建っていた。

「そうだよ。ここがあの人、エリス・イシュタル、私のお姉ちゃんの家なの。」

「へぇーお姉さんいるのか、そうか、ってえ“え“ぇ“ぇ“ぇ“!?」

「そ、そこまで驚く?まぁ、お姉ちゃんはすごい人なのは間違いないんだけど…」

「いやいや、こんな城みたいなのにすんでいるんだぞ、そんなわけないだろ。っていうかなんか難ありみたいな口調だな。」

「まぁね、ちょっと私に対して過保護かほごっていうか、優しすぎるんだよね。」

(なるほど。重度のシスコンってことか。)

「とりあえずお姉ちゃんがいるか確かめてみよう。」

「そうだな」

 涼真とマナはお姉ちゃんがいるのか確かめるためにドアをたたいた。

 ……ドンッドンッ。

 中から「はーい」と女性の声がした。

「はいはいどちら様?ってマナじゃない!

 もぉ心配したんだからね!…でも良かった、無事で。」

 エリスはマナを見た瞬間マナに抱きついた。

「ごめんなさい、エリスお姉ちゃん。」

 マナは抱きかえす。

「えっと、それで、マナ?こちらの人はいったい…」

「紹介するね。こちらは赤石涼真。」

「………。ってそれで終わり!?もうちょっとなんかないの?」

「そう言われても……。じゃあ本人に話してもらうね。」

(自己紹介って前みたいな感じでやれば良いのかな?)

「俺の名前は赤石涼真です。妹のマナさんとは一緒に旅をしています。これからもどうぞよろしくお願いします。」

 涼真は社会人みたいな挨拶をした。

「う、うん。よろしくね涼真君」

(あれ?エリスさんは名前のこと聞かないんだ。)

「それで、何しにきたのかな?って聞く前にまずは上がって上がって。おもてなしするからさ。」

 エリスはマナとは似ていなく、

 雰囲気が軽くすごくフレンドリーだ。

「お、お邪魔しまーす。ってやっぱ家の中は広いな」

 涼真は家の中に入ると周りを見回していた。

 そこにーー

「ブッハァァっ!な、ななななんでここにし、下着が!」

 涼真は家の隅にあった下着に目が行ってしまって吹いてしまった。

「何でって言われても…ここ私の家だから別に良くない?」

 エリスは下着を見られても何も動揺してなかった。

「それより、お姉ちゃん。お願いがあるんだけどいいかな?」

「お願い?マナがお願いするなんて珍しいね。それでなに?」

「実はーーー」

 マナは涼真の事をエリスに話した。

「なるほど。それで私のところに来たのね。

 いいよ。その願い聞いてあげる。」

 エリスは少し考えて承諾する。

「ありがとう!お姉ちゃん。」

「ありがとうございます!」

 二人はエリスに礼を言う。

「いいのいいの。可愛い妹のためなんだから

 気にしないでよ。」

 エリスは胸の前で手を振りながら言った。

「じゃあ始めようか。ちょっとこっちに来てね。」

「は、はい!」

 涼真はエリスの後を追って部屋を出る。

「じゃあここにうつ伏せになってくれるかな?」

「分かりました」

「力抜いてね。いくよ。『容量ストレージ』っとよし、まずは第一段階クリアかな。」

(あんまり変わってないような…)

「次にいくよ、『操る《オペレート》』さらに、『固定フィクシィー』…とりあえずいったん見てみるね。」

「…なんか、身体中に力が溢れてる気がする。」

 涼真は自分の異変いへんにすぐに気づいた。

「それもそうだよ。だって、一カ所にあった制御できずにいた膨大な魔力を全身に送り込んだからね。よかったよかったよ、成功して。初めてやったからね失敗するかと思ったからさ。失敗してたら最悪死んでたけどね。ははっ」

「ちょっと待て、失敗したら死ぬってどういうこと!?」

 涼真は、成功してホッと一息つこうと思ったら「死ぬ」なんて言葉が出てきて一層いっそう緊張感が増した。

「そりゃそうでしょ。だって、人の体のなかはほとんどが魔力をもっているからさ、その魔力をいじってるからね。」

(ん?ちょっと待てよ。人の体のほとんどは血液ではないのか?分からん)

「とりあえず、これで私の仕事は終わりだね。さぁ戻ろっか。」

「そうですね」

 涼真達はマナと合流し世間話せけんばなしを少ししてから

 当初の目的であるアッシュール帝国へと向かうのだった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る