銀色と桜

小鞠

プロローグ

 生暖かい風が吹き、鈍色の空を見上げる。


「彼が私の世界に刺激を与えてくれた。」

「彼女が僕の世界に平穏を与えてくれた。」


 きっともう出会うことはないけれど、あなたはいま幸せだろうか。もう一度出会えるのならあなたは何を求めるだろうか。より刺激的な毎日か、それともただ呆然と生きる平穏か。



 否、何も求めないだろう。ただあなたがこの世界にいると知ることができるのならば。

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