千と一夜にはちと足りず、十の夜にはちと多い、シュールに笑える夢百夜。

ひたすらに淡々と、異様に勘が鈍くマイペースな“わたし”の視点で奇怪な小話が続く短編集。
淡々と語られる世界やら事情やらはどこかトチ狂っていて、ニヤリと笑えるシュールギャグの数々が続く。
どちらかと言えばコント集めいた作品のように感じられるが、読めば読むほど味わい深く、風刺であるような、そうでないような、あるあるであるような、そうでないような……

それこそ夢でも見ているかのように不思議で、けれど読むと胸が少し軽くなる、奇妙なテイストの作品。
よろしくされたシェヘラザードも、クスリと笑っているのだろうか。