9頁

本当にね 何の因果いんがなんでしょうかね

金属の板 叩くことしか知らない男がですよ

器量がいいって訳でもない嫁が恋しくってね

こ汚いがきでも あたしには宝物でしてね


そんな どうってことない無学な男がですよ

聞いたことも 見たこともない

言おうとしたら舌んじゃうような所に来てだ

こんな目に遭わされてんですからね


こんなことなら いくらお天道さんの頼みでも

断っておけばよかったって 悔やまれますよ

でもね やっぱりお天道さんにはかないませんね

びかびかって いかづちに当てられちゃっいましてね


そうさね 丁度 こんな感じだったかな

家のかかあが 鮎の時分ですけどね

燃えがった恋が 今 正に 成就じょうじゅしよって時に

びりびりって 何が起きたか てんでさっぱりで


もう頭の先から 足のつま先までね

激痛が走るっての 息一つ できやしないんですから

正にこんな感じでね 身体中ぼろぼろになっちまって

本当にね 人になってまでこんな目に遭うとは

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る