第43話 【閑話】東京日本政府&新興宗教

「総理指示を」

「広域を守る事は非常に難しい、関東周辺の自衛隊及び警察組織はこの地下特殊構造体を、攻略できる目算は立つのかね?」


「いえ、自衛隊組織の現状保有する武器を持ってして、迎撃に向かった渋谷の状況ですが、入り口階層ではなんとか、銃撃により撃破が為されましたが、実弾数の圧倒的不足で、次々現れるモンスターを抑え込み続ける事は、不可能と思われます。迎撃が不可能な以上、現内閣及び執行部は対策を立てるために籠城を要請します」

「それでは、国民はどうしろと言うのだ?」


「我々の組織で、モンスターと戦い続ける事が不可能である前程から、お答えしますと、各自自己防衛に努めて下さいとしか、進言できません。我々自衛隊員は戦って死ぬのが当たり前であると仰られるのなら、そう総理として発表されれば、何人かは従う隊員は居るかもしれませんが」

「そうか、ご苦労だったな。君も疲れているのだろう。諦めを前提の意見を取り入れる訳にはいかない。この国を守るための建設的な意見を求める」


「警察庁の桜木です。新宿歌舞伎町に出現したダンジョンに対してSATが出動し、モンスターとの戦闘から、変異と呼ばれる進化をしてその形態による、戦闘能力の向上で、一層のモンスターと互角以上に戦えているとの報告を貰っています」

「変異ですか? 人間が他の生物に変異しているのですか因みに、どのような変異を行っているのでしょうか?」


「歌舞伎町ダンジョンから溢れ出た初期の形態のモンスターは2種類存在しました。『キラーコックローチ』及び『グレーマウス』です」


「それは、ゴキブリとドブネズミなのか?」

「恐らくベースとなるの生物はそうなのでしょう。最初にどちらの敵を倒すかで進化先は決定してしまうようです」


「ゴキブリ人間と、ネズミ人間がモンスターと戦って、人類を守るとして、その後その変化した人間を社会が受け入れると思えるのか?」

「現状ほかに手段は有りません。すでに突入した署員120名のうちゴキブリ形態に進化した者70名ネズミ形態に進化した者30名が存在します。20名は殉職しましたが、そのうちの5名が、ゴキブリの触覚が生えた事に対して、嫌悪感を示し、自ら引きちぎった所、光の粒子となり姿を残さずに消えて行ったとの、報告が上がっております」


「どう判断をするべきなのだ……」

「防衛庁の村松です。守りを固めるとの判断だけで意見を述べます」


「新宿のゴキブリ型、ネズミ型、渋谷の蛇型、トカゲ型の対処ですが、倒してしまえば、その形態に変異してしまうという事実が払拭されない以上、現段階では地下に籠城して、対応策を考え問題解決後の世界の構築まで考えなければ、安易な変異形態を選択した場合必ず世界の再生に禍根を残します。今は我慢を重ね籠城をするべきです」


「ビルではだめなのか?」

「ネズミタイプのモンスターは鉄骨を噛み砕き既にビルの倒壊が何軒も確認されていますので、上層階への非難は危険です。更にゴキブリタイプのモンスターに置いては、飛翔を行いビルの上層階程度へは簡単に取り付き更に壁面であっても普通に這い上がって、襲い掛かって来ています」


「地獄絵図だな…… 変異した人類は正気は保てているのか?」

「はい、ゴキブリタイプの人間であれば背中に甲殻が現れ、飛翔が可能になり、更にその甲殻は鋭利な刃物となり、マウスや同種ゴキブリの甲殻を切り裂けますが、背中部分を完全に露出させた姿で無いと、飛翔は使えないようです。マウスタイプの進化を遂げた人物は鋭い前歯を持ちその硬度は銃弾を弾く、ゴキブリの甲殻やマウスの体毛を、貫けるそうです」


「それは戦闘手段として、人間がゴキブリやネズミに噛みつくという事なのか?」

「はい、仰る通りです」


「ゴキブリやネズミのモンスターに噛みつける人類が、正気を保てていると論じるのはとても苦しい理論だな」

「現状他の手段は無いのか?」


「既に弾薬は枯渇状態で、通常の刃物では通用しにくいようです。広島の狼形態や、松江のウサギ形態は報告が上がっていますが、それにしても数で押し負けて、自衛隊、警察双方ともに人数を減らし、既に連絡が途絶えている状況です」

「解った。村松君の意見を採択する。都内の全ての生存者を地下へ保護し、警察組織、消防組織、自衛隊組織の全てを投入して入口の封鎖を行う」


 東京は、首都機能を失った。



 ◇◆◇◆ 



「神は我々に新たな進化をもたらせてくれた。我が教団はこの力を用いて人類を支配するのだ」


 横浜に展開する席数20席ほどの猫カフェでその宣言は行われた。


 横浜ダンジョンから現れたモンスターは猫だった。


 猫型モンスターは狂暴ではあったが、猫好きなマスターが試しにくべてみた、マタタビの粉末が想像以上の効果を示し、敵モンスターを昏睡状態に出来たため、従業員の女の子達と一緒にモンスターを撃破し猫人キャットピープル化した。ダンジョン入り口も近かった為に、近所のディスカウントショップでだれも見向きもしなかった、マタタビ類を大量に奪ってきて、ダンジョンに侵入した。


 マタタビ効果は2層でも有効で、マスターとアルバイトの女の子3人で第3段階まで進化してしまう。


 更に2層で、隠し部屋を発見し、宝箱から強力なスキルである、テイミングを手に入れた。

 自分のランク以下のモンスターに対して命令を出来るこのスキルを所持した猫カフェのマスターは、猫耳、猫尻尾のアルバイトの女の子を従えて、横浜の街を歩き回るだけで、猫型モンスターはみんなマスターの後ろを行進するだけの存在となる。


 ただし、このテイミング状態は、攻撃を一度でも受けると、解けてしまう物だったために、倒す事は出来ない。


 ダンジョンから溢れ出す猫を次々にテイミングし続けるその姿は、神と崇め奉られるようになり、遂には『神猫教団』の設立を宣言した。


 信者となる者には、ダンジョン内での進化の恩恵を与え、武器も供与する。

 信者とならない避難所には、大量の猫型モンスターを引き連れて行き、その場に放置してくる。


 瞬く間に信者は数を増やしていった。

 

 ドロップ品による爪や牙から対モンスターに有効な武器の開発も行い、周辺の公共施設を次々と教団の信者となる事と引き換え条件に接収して行き、50万人規模の巨大宗教団体が、横浜に誕生した。


 ダンジョン以外では、ドロップが手に入らない為に、ダンジョン入り口を教団が管理している以上、その他勢力で対抗が出来ない情況である。


 東京のゴキブリや、ネズミ、蛇、トカゲと言った種族への融合よりも、見た目的にOKだった為に、この結果になってしまったが、実際彼らはゲームで言う所のMPKを仕掛け、数々の避難所を、壊滅に追い込んだ事実は、決して消え去る事は無い。

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