第5話 魔法炸裂バトル

 そこは知恵の王国の城の入り口であった。

 そこを整列して歩く2つの魔法騎士団がいる。

 黒の騎士団と白の騎士団とされており、それぞれ20名の団員を抱えている。

 黒の騎士団の20名は攻撃魔法が得意とされる。白の騎士団はサポート系の魔法が得意とされる。



 黒の騎士団を率いているのが黒騎士と呼ばれる男性だ。

 白の騎士団を率いているのが白騎士と呼ばれる女性だ。



「ったく、あの女王も心配性だぜ」

「ですが、この城以外の地区にて生命反応がありませんわ」


「それも考えすぎ、何かシールド魔法でも張ったんだろ」

「それは考えられませんが」


「おっとやっと来たぜ、ジャック・オ・ランタンさんがな」

「黒騎士真面目にやれ」


「へいへい白騎士さんよ」

「ったく」



 2人の合図で黒の騎士団の黒魔法使いが動き出した。

 全員が氷魔法を炸裂させる為に空中に魔法陣を描く。

 空中に出現した魔法陣から氷の玉が炸裂する。



 そのスピードは弓矢より遥かに早かった。

 しかし全ての魔法攻撃をスキップするように回避し続ける。



「まったく、これが黒の騎士団の力か? わしが指導してきたメンバーもいないみたいだし、堕落したのう」


「な、ジャック・オ・ランタンがしゃべっただと」

「悪いかいのう、わしは1人の爺さんじゃて、元賢者だけど」



「嘘を言うな、賢者は民衆を裏切って処刑されたではないか」

「それが勝手な刷り込み、刷り込みされた君達には罪はないが、殺さないとわしたちのメンツがたたんのじゃ」



 ジャック・オ・ランタンはふわふわと空中に浮かび上がる。



「あ、あれは何の魔法だ。浮遊魔法は賢者クラスじゃないと使えない」

「う、うるさいわ、あれが、本当に賢者ウィラクスなの?」



「これでも食らえ、お前達に躊躇しているほどわしは心優しい事を捨てた」


 

 雷魔法の爆雷嵐が炸裂する。

 誰もが1回の魔法くらいで死ぬはずないと思っていた。

 誰もが次にチャンスがあると思っていた。



「じゃがお主達には次はないぞ、敵を舐めた時点でお主達の負けは確定じゃ、ふっぉふっぉ」


 

 黒の騎士団の魔法使い達は全員が内臓を爆発させようにぐちゃぐちゃになっている。

 白の騎士団の魔法使い達は全身が斬り刻まれ、ぐちゃぐちゃになっており内臓がはみ出ているし、割れたスイカのように頭が割れている。



 黒騎士と白騎士は跡形もなく消滅している。

 残されたのは粉々になった骨。



 2人は肉体を蒸発させた。

 なぜなら2人が一番近くにいたから。

 ジャック・オ・ランタンはるんるんと歩き出した。

 巨大な壁が城の入り口を封鎖していた。

 しかしそんなものなど無駄だとばかりにすり抜けて行く。


 

 この体になってから、ジャック・オ・ランタンは生きているものの気配を感じ取る事が出来る。

 それはモンスターの体になったご褒美みたいなものだろう。



 沢山の人々は雷魔法で全身を粉々にしていた。

 初級の雷魔法だけでもこれだけの威力。


 

 ジャック・オ・ランタンには溢れた魔力が存在している。

 それが賢者ウィラクスだったころの力なのか、このジャック・オ・ランタンの力なのかは分からない。



 ようやくたどり着いた場所。

 巨大な城門がある。

 この城門は間違った開き方をすると相手を死なせる。



 きっとこれがあるから女王はふんぞりかえっているのだろう。

 まさかこの扉を作ったのが賢者という事を忘れているのだろう。



 一方女王はベランダから街を眺めていた。

 炎は怒りを蓄えていくかのように隣から隣へと引火していく。

 この知恵の王国が炎の王国になるのも時間問題だろう。



 知恵の王国の女王は何か懐かしさのような顔をしながら扉に視線を向ける。


 その時扉がゆっくりと開かれていく。

 そこにやってきたのは沢山の血で染まったジャック・オ・ランタンであった。



 ジャック・オ・ランタンは女王を見るとにかりと笑って見せる。



「わしの事を覚えているか?」


「まさか、お前死んだのでは、この手で処刑したぞ」


「ところでわしの心臓ってやっぱ新大陸に? 7人の最強者の心臓なら新大陸くらい召喚出来るよな、わしも新大陸行ってみたいけど、今お掃除をする必要があってね」


「ちょっとまってくれ、お前の心臓を返そう」

「へぇ」



 女王は机に向かって引き出しを開けようとした所を、雷の魔法が炸裂する。


「もう人間を信じる事は止めたんだ。そのお芝居止めてごらん」

「ぐうううう」



 ころころと転がって来る杖をジャック・オ・ランタンは踏みしめる。



「へぇ、転送の杖か、高級なものを持ってるね、逃げるつもり? 逃がさないぞい」

「た、頼む、時間を」

「お前さ、民衆がいなくなった時点で、終り、国としてハイ終了、なので、女王も潔く死になさい」

「だ、だから」


「聞く耳持たず。それが君達に教わった事だよ、聞き耳をもたらすから弱みを握られる、じゃね」

「ま、まってくれええええええ」



 女王の悲鳴が辺り中を支配した。

 この国には動物とモンスターしかいない。

 なぜなら全てを燃やし尽くし炎は次から次へと燃え盛り。

 この建物自体も燃やしている。

 

 斬撃魔法で女王の首を両断したジャック・オ・ランタンは首を持ち上げて女王の首をぶらぶらとさせて、笑っていた。


「なんだかすっきりしたよ」


 その時城はさらなる炎で燃え上がった。


 この日に知恵の王国は滅んだ。


 赤子も子供も少年少女も青年淑女も大人達も老人たちも人口2300人は皆殺しにされたのだから。

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