数学2

数学の予習を終えると、昼休みの終わりのチャイムが鳴る。


瑠璃は教科書を鞄にいれて、


「次授業のと問題は解けるはずだからね。起きておくんだよ」


そう言って机を元の形に戻した。少し経つと白髪の優しい目をした初老の数学の先生がクラスに入ってきた。


俺はあの先生が怒ったことを見たことがない。

俺が授業中寝てても眠いんだねと言って立ち去っていく。


あの先生は温厚で好きなのだがやっぱり数学の授業は眠くなってしまう。呪文を唱えているかと思っていたからな。

だけど今日の俺は違う。まぁ当ててほしくはないが。当たらないことを祈りつつ授業の準備をした。 


俺は気合いをいれるために深呼吸をしてたら隣のマナに話しかけられた。


「今日たぶん当てられると思うよ」


マナはにぃとした顔になって言った。


「おい、緊張を余計にするだろーが」



「いきなり当てられるより、心の準備をしてたほうがいいでしょ」


マナはさばさばとした口調で言うと机にっぷして寝た。


ああ、マジて心臓の鼓動がだんだん早くなってきたわ。でも大丈夫だ。瑠璃にでそうな部分を教わって瑠璃のお墨付きも貰っているし問題はない。


そう思い込んで俺は授業を受け始めた。


ノートを写してと26分ぐらい経ちはじめて珍しくマナの感が外れたか。緊張して損したなと思った時にたまたま先生と目が合い


「お、珍しく希堂起きてるじゃないか。じゃこの問題を解いてみてくれないか」

黒板をとんとんと叩きにやっとした笑顔を浮かべながら言った。


くそー!先生と目が合わなければ当てられることがなかったのに。先生の方を見なければよかった。


俺はがっくりとうなだれてからのそのそと黒板に向かう途中に瑠璃と目が合って、瑠璃は頑張ってと口パクで伝えてきた。


瑠璃に応援されたなら絶対に解かなくてはな。

我ながら単純だなと内心苦笑しながらそう思った。


俺は黒板の前に経つとふぅーと深呼吸をして戦に初陣する当主の息子の気分になりながら問題を見た。


あれ、これはさっきやったやつだ。確か三平方の定理を使ってこれをこうしてこうだな。

出来たぞ、はじめて数学の問題を当てられて解けた。

俺は換気のあまり涙を流しそうになるのを我慢しながら先生に解けたことを伝えた。


すると先生は式を見て宝箱の地図を見つけたような驚いたような表情を浮かべて答え合わせしてみるなといい問題を採点し始めた。


「正解だ。今まで授業寝てたのによく解けたな。睡眠学習でもしてたのか。それともこっそり勉強をしてたのか?」


「優秀な彼女に教わったんです」


すると目が飛び出すほど先生は驚いた後、心配すらような顔になって


「彼女だと?美人局じゃないのか?」


「いえ同級生ですよ」


「そうかなら安心だな、これからも彼女から教わって勉強するんだぞ。席に戻っていいぞ」


俺は先生からそういわれて席に戻るコタを許可された。

ふぅーなんとか教えて貰った部分だから助かったわ。



俺が席に戻ると瑠璃が後ろを向き


「希堂君お疲れ、勉強したかいがあったね」


「瑠璃に勉強教えて貰えて本当によかったわ。これからもよろしくな」


瑠璃は目を細めた芙蓉のような笑顔を浮かべてうんとうれしそうに言った。


やっぱり教えた成果がでると教えた側も嬉んだろうな。彼氏だとなおさらな。


これからも数学を頑張るか。瑠璃に教わればどんなもんだいでも解けるような気がする。

ふっマナに自慢できるな。


そう思いながら残りの数学の時間を問題を解きながら過ごした。

ちなみにマナは数学が終わると同時に起きて俺は少しびびったのはここだけの話だ。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る